人気ライトノベルを実写映画化した『僕は友達が少ない』で、イギリス人と日本人のハーフの主人公・小鷹を演じた瀬戸康史。映画、ドラマ、舞台など幅広く活躍している彼の“25歳のリアル”について聞いた。
1日3分睡眠で、主演ドラマを掛け持つ
――幼い頃から長年、獣医になりたいと思っていたそうですが、どういう経緯で芸能界を目指すことになったのでしょうか?
子供の頃、ジイちゃん、バアちゃんの家で飼っていた犬や猫とよく遊んでいて、自然と犬や猫を助ける獣医に憧れるようになっていました。でも、16歳のとき、親が勝手に「D-BOYSオーディション」の応募書類を送ってしまって、しかもたまたま合格してしまって、こっちの道を進むことになったんです。
――つまり、瀬戸さん自身はまったく芸能界に興味がなかったということですか?
まったくありませんでしたね。でも、昔から親は僕を世に出したいというか、芸能界に入れたかったらしく、もっと昔にも、地元・福岡でのCMオーディションに連れて行かれたこともあったんですよ。だから、「D-BOYSオーディション」のときも「またかよ!」と思いました(笑)。オーディションに受かったときも、いちばん喜んでいたのは親でしたね。今も、僕の仕事の環境について喜んでくれてますし、よく「周りの人に感謝しなさい」と言われます。実際に親孝行できているか分からないけれど、自分としてはそのつもりで頑張っています。
――その後、08年に20歳で「仮面ライダーキバ」の主人公・紅渡に抜擢。ライダー俳優といえば、放送期間の1年間に、ほかのドラマなどに出演することはまずないのですが、瀬戸さんはドラマ「恋空」でも主演を務めるという異例の状況が話題になりました。そのときの心境は?
ただ、がむしゃらにやるしかないという気持ちしかなかったですね。1日の睡眠時間は3分ぐらいでしたから。「キバ」の撮影は早朝からですが、そこから「恋空」の現場に行く移動車で、両方の台本のセリフを覚えていました。本当だったら仮眠できるチャンスなんですけどね、でも寝てしまったら撮影にのぞめない……。ただ、あのときの記憶力というか、集中力はハンパなく研ぎ澄まされていました。一度読んだだけで覚えられるぐらい。今思うと、どちらの作品も時間をかけて丁寧に演じたかったですけど、さすがにしょうがなかったと思います。
2014.01.26(日)
text:Hibiki Kurei
photographs:Asami Enomoto
hair & make-up:Junko Kobayashi
styling:Yojiro Kobayashi(Yolken)