生身の人間しか出せない感情を観客に届ける

――蘭丸じゃないですが、デビュー当時の瀬戸さんといえば「可愛い」イメージが強かったと思います。ファンの方からそう見られることについて、どう思っていましたか?

 自分が何を求められているのかを理解することは大事だと思うんですよ。「可愛い」と言われるのが苦手な人もいると思いますが、僕自身は特にイヤだとは思っていませんでした。

 でも、そういうイメージだけでは続かないので、役者として変わっていかなきゃいけないという気持ちはどこかでありましたね。これからも年齢を重ねていくうちに、色気のような、ルックス的なカッコ良さではない内面的なカッコ良さを出していきたいと思っています。

――自分の主演映画が次々と公開されるという現状については、どう捉えられていますか?

 僕を選んでいただくことはうれしいことですが、壁でもありますね。ひとつひとつの作品、その役柄をどう深く演じていくか。作品に関わる人とどう接していくか。毎回、その過程が壁だと思っていますね。僕自身、ギクシャクした現場は大嫌いなので、どう現場をスムースに進ませるか、ということは常に考えています。そうじゃないと、撮られている僕らも、撮っているスタッフさんも仕事をしにくい。主演という立場は、舞台でいう座長なので、そこに選ばれた責任感みたいなものは背負うようにしています。どういうジャンルの作品であろうと、どの監督さんの作品であろうと、そういった僕のスタンスは変わりませんね。

――そんななか、主演最新作『僕は友達が少ない』では、すでにライトノベルやアニメなどでヴィジュアルイメージが先行しているキャラクターを演じることに対し、戸惑いはありましたか?

 最初、お話をいただいたときはいろいろ考えました。実写化はたくさんあると思うんですが、あえて実写でやる意味を考えたとき、やはり文字やアニメでは表現できない人間らしさというか、繊細な芝居が必要なんですよ。なので、なるべくもともとのイメージを壊さずに、生身の人間しか出せない感情というか気持ちみたいなものを観客に届けようと。それを意識して演じるのが、今回の壁だと思いましたね。確かにいろいろ言われましたけど、最終的にある程度は割り切ってやるしかないなとも思いましたね。

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2014.01.26(日)
text:Hibiki Kurei
photographs:Asami Enomoto
hair & make-up:Junko Kobayashi
styling:Yojiro Kobayashi(Yolken)