最新出演作である『横道世之介』が現在公開中の池松壮亮(いけまつ・そうすけ)、22歳。本作で高良健吾演じる主人公の大学の同級生・倉持をコミカルに演じ、新境地を開拓している彼に、前回に引き続き、“映画愛”について語ってもらった。
潰れてもいいから飛び込んでみよう
――さて、最新出演作となる『横道世之介』ですが、今回演じた大学生・倉持役では『行け! 男子高校演劇部』(2011年)に続いて、かなりコミカルな一面が見られますよね?
『南極料理人』を初めて見たときから沖田修一監督が大好きで、いつかご一緒したいとは思っていたんですが、じつは倉持のお話を最初いただいたとき、「ほかに相応しい人がいるはず」と思ったんです。とはいえ、こんなチャンスはなかなか来ないですし、沖田さんが映画化するためにあるような原作だし、自分が潰れてもいいから、とりあえず飛び込んでみようと思いました。脚本が面白かったことと、同世代の俳優との共演で何かが得られるんじゃないか、と思ったことが大きかったですね。
――やはり、今回のようなテンションが高い役を演じるときは、ご自身のなかでスイッチを入れるという感じなのでしょうか?
昔から何かにならなきゃいけない、という感覚は特にないんですけど、今回の出来上がりを見て、今まで見せていなかった顔だと思ったし、沖田さんの元でしかやれなかった役だと思うし。とはいえ、自分の中のエンジンやエネルギーみたいなものは確かに必要でしたね。僕は演技について特にレッスンを受けたこともないですし、普段の僕はこんなボソボソ喋る感じなんで……現場の雰囲気がそうさせてくれたんでしょう(笑)。
2013.03.07(木)
text:Hibiki Kurei