髙村薫のデビュー小説を、井筒和幸監督が映画化したクライム・ムービー『黄金を抱いて翔べ』で、銀行地下金庫からの金塊強奪に挑む男たちの一人・春樹役を演じる溝端淳平(みぞばた・じゅんぺい)、23歳。俳優デビューから5年、本作の熱演から新境地を開拓した彼の意外な素顔に迫る。
決勝でスイッチが入ったジュノンボーイ・コンテスト
――2人のお姉さんの応募がきっかけで、「第19回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」でグランプリに輝いた溝端さんですが、モデルや俳優に対して憧れみたいなものはあったのでしょうか?
人前で自分を表現する仕事には興味はありましたが、だからと言って、将来的に目指そうという気持ちは全然ありませんでした。だから、大阪予選では「未来の小池徹平くんになる人を見てみたい」ぐらいの気持ちだったんです。それが、東京の決勝でやっと、自分の中でスイッチが入りました。「ここまで来たのなら、グランプリを取らないと意味がない」って。今、こうやっていろんなお仕事ができる環境を作ってくれた2人の姉には、ホント感謝です。上の姉は来年結婚が決まっているんですが、2番目の姉はもう結婚していて、一歳の姪っ子がいるんですよ。その子、めっちゃ可愛いんですよ!
――その後、俳優としてさまざまな作品に出演されますが、ご自身のなかで転機となった作品はありますか?
この一作というよりは、年々お芝居することが楽しくなっている感じですね。ただ、これまでは好青年みたいな役が多かったんですが、去年出していただいたドラマ「蜜の味~A Taste Of Honey~」は特別だったかもしれません。今までにない復讐に燃える役をいただき、それを思いっきりやってみたんです。そうしたら、スゴく楽しくて、自分が思うままに演じることを受け入れてもらえたんです。それ以降、ほかの役でもそうやっていけたら……と思えるようになりました。
2012.10.19(金)
text:Hibiki Kurei
photographs:Nanae Suzuki
styling:Norihito Katsumi(Koa Hole inc.)