トニー賞やピューリッツァー賞を受賞し、映画化もされたブロードウェイ・ミュージカル「RENT」。この新演出版でHIV感染者の元ロックバンド・ヴォーカル、ロジャーを演じるのが中村倫也(なかむらともや)、25歳。近年は「ロッキー・ホラー・ショー」に出演するなど、舞台俳優としても注目される彼の魅力に迫る!

すべてが新鮮だった初出演映画

――現在は舞台を中心に活躍されている中村さんですが、デビュー作はダンカンさんが監督された映画『七人の弔』(2005年)でした。この業界に入るきっかけは何だったのでしょうか?

 高1のときに、同級生の知り合いに今の事務所の方がいて、僕の写真を見てスカウトされたんです。それで、まず養成所に入ることになりました。そこに1年通って、高3の夏に『七人の弔』のオーディションを受けたら受かったんです。

――その頃、特に好きだったり、目指していた俳優さんはいたのでしょうか?

 もともと母が映画好きで、僕もよく見るようになったんですが、自分がそういう仕事をするとは思ってもいませんでした。養成所に入ってレッスンを受け始めてから、漠然と「俳優という仕事もあるんだなぁ」と思ったぐらいですから。『七人の弔』の現場では、右も左も分からず、ただやるしかないと腹を決めた感じでした。でも、何も分からないので、カメラや照明を準備しているのをボーッと見ていたんですが、すべてが新鮮でしたね。

――自分の演技を初めてスクリーンで見たときの感想。それによって俳優を目指す意志が固まった、というようなことがあれば教えてください。

 ただただ、恥ずかしかったです。デビューから7年経った今でも、自分の作品を見るのが恥ずかしいぐらいですから……。最初の頃は単純に売れたいとか、目立ちたいというような動機が強かったんです。ちゃんとこの仕事でやっていこうと覚悟を決めたのは、2、3年ぐらい前からじゃないでしょうかね。何がきっかけで、どの作品というのは分からないですが……。

2012.10.05(金)
text:Hibiki Kurei
phorographs:Hanae Miura