個性派俳優として知られる、生瀬勝久の初単独主演映画として話題の『スープ~生まれ変わりの物語~』。本作で後半パートのキーパーソンとなる高校生・三上を演じたのが野村周平(のむら・しゅうへい)。弱冠18歳、度胸と存在感を持った彼が最新出演作で学んだこととは?

知らないうちに父親が応募していたオーディション

――野村さんが高校1年のときに3万人以上の中からグランプリに輝いたオーディション「2009 THE PUSH!マン」。出場理由が、お父さんの応募というのは本当なんでしょうか。

 そうなんですよ! お父さんが僕に何も言わず、勝手に応募していたんです。僕は一次審査に合格したというメールが届いて、初めて知ったんです。それでお父さんに聞いたら「ごめん、ごめん! 勝手に送っとった」と。しかも、その後に言った言葉が笑えて「賞金出るみたいだから」って(笑)。僕も「それなら協力しよう」みたいな感じになりましたね。

――お父さんとはかなり仲がいいようですが、野村さん自身は芸能界や俳優への憧れみたいなものはなかったんですか?

 大泉洋さんなど、好きな俳優さんはいましたが、そういった気持ちは、まったくなかったですね。自分が芸能人になれるとは思っていなかったですし、俳優としてTVや映画に出るなんて夢のまた夢みたいな感じで、どちらかというとプロのスノーボーダーを目指していたんです。

――ちなみに、オーディションの決勝大会では、中国語や村上ショージさんのギャグを披露したそうですが、それはなぜですか?

 決勝まで進めることにはなったものの、僕、特技みたいなものがないので、どうすればいいんだろうと思ったんですよ。それでパッと思いついたのが中国語とモノマネでして……僕、中国の血が1/4入っているんで、中国語が得意なんですよ。それから、村上ショージさんが好きだったので、「ドゥーン」というネタのマネをやらせてもらったんですが、まったくウケなくて……。でも、それが逆に良かったみたいです(笑)。

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2012.07.02(月)
text:Hibiki Kurei
photographs:Tatsuo Harada
styling:kyu(Yolken)
hair&make-up:Akihiro Ohnami