別の役で受けた「RENT」オーディション
――さて、10月30日から上演されるミュージカル「RENT」ですが、オーディションでは元ロックバンドのボーカル・ロジャー役でなく、映像作家のマーク役を受けられたとか?
そうです。役者にはいろんなタイプがいると思うんですが、僕は自分でこういうことをやりたいんだと決めつけるわけでなく、他人が面白いと思うものを面白いと思う人間なんです。ちょうど僕の周りには、やりたいことをやる奴も集まっていて。たまに、自分は何なのだろうと考えることもあるんですが、年齢的にも自分の方向性を考える時期だし、いいかなと。そんな環境や性格を含めて、僕はマークっぽいなと思っていました。
――でも、演出家の方からロジャー役を勧められたんですよね?
ビックリして、人生一のキョトン顔をしました(笑)。その後、一分半ぐらい思考回路が停止しました。ロジャー役を演じることで越えなければいけないハードルはいっぱいあるんですけど、それをクリアしたうえで、いかに自分のモノにしていくか。それがいちばんシンドいことだとは思いますが、本番には何とか間に合わせたいです。
――ちなみに、「RENT」も「ロッキー~」同様、熱狂的ファンの多い作品ですが、そういった作品を演じるプレッシャーみたいなものはありますか?
「RENT」を大好きな方たちにどう見られるか不安ですし、怖さがないといえば嘘になると思います。毎回、本番直前は吐き気がすると思うんですよ。でも、結局自分たちがやりたいこと、作ってきたものを信頼して、提供することしかできないと思うんです。お客さんが満足できるものをリサーチして模倣していくだけだったら、稽古する意味はないですから。自分たちの「RENT」をやるだけ。面白いメンバーが揃ったと思うし、いいものができそうな気がするんですよ。
2012.10.05(金)
text:Hibiki Kurei
phorographs:Hanae Miura