●【テレビ放送70年 特別企画】『テレビが届けた名曲たち』

 出場歌手のほか、懐かしい秘蔵映像も出てくると思っていたので、ちょっぴり残念。寺尾聰さんは「ルビーの指環」の激シブ歌唱ぶりと、エンディングでの、ゆず・北山悠仁さんとの腕組みキャッキャモードとのギャップがキュート。

●Ado「唱」

 東本願寺からの中継も素敵だったが、USJで多くの方が唱ダンスしている動画が大好きなので、次回はUSJで素顔がわからないくらいにメイクしたAdoが、コスプレイヤー100人に囲まれ歌うという演出をやってくれないだろうか。

●エレファントカシマシ「俺たちの明日」

 カメラの方を道連れに、きっとリハーサルとは全然違うルートを進み暴れ回っているミヤジ。冷静に演奏を続けるメンバー。これぞエレカシである。

●石川さゆり「津軽海峡・冬景色」

 今回は、ウクライナの民族弦鳴楽器バンドゥーラとのコラボ。「津軽海峡・冬景色」&「天城越え」の可能性は無限大。

●有吉弘行×藤井フミヤ「白い雲のように」

 笑顔を忘れ、マイクを両手ですがるように持ち、首でリズムを取りながら歌う有吉弘行さん。その表情は「極度の緊張」を超え、無の境地に達したかのように見えた。

 ガッツリとアイドルしてくれていた福山雅治の「HELLO」やMISIAの熱唱を粋に支える男闘呼組を中心としたRockon Social Clubに喜び、一番星の生まれ変わりが大集合し素晴らしいダンスを見せていたYOASOBIの「アイドル」にも興奮し、エンディング、サングラスのど真ん中に紫の紙テープがちょこんと乗った鈴木雅之さんに萌え――。

 テーブルの上にミカンの皮が山盛り状態。結局一曲ももらさず観てしまった。

 さて、長々と、本当に長々と振り返ってしまったが、全体的には、中継先やスタジオがあっちこっちに移動していたので、紅白歌合戦らしさは減っていた。

 しかし、これまで私たちが楽しんできた紅白らしさと、現代の流行がズレてしまっているのだから、仕方ない。時代を取れば「らしさ」が消え、「らしさ」を取れば時代錯誤になるのだろう。

 さあ、どうなる紅白歌合戦。今年末も時代の荒波をどう乗り越えるか注目である……って、結局私はなんだかんだと、チャンネル「1」に合わせてしまうのか!

他の記事も読む
» VIVANTから大奥まで。地上波ドラマの逆襲!? 2023年ヒットと激熱ドラマ大賞
»「梅吉よ、泣かないで」『ブギウギ』大阪パートの柳葉敏郎の明るさと悲しさ
» 「人間から魔法使いに昇格」ある日突然聴きたくなるTHE ALFEEのミステリー
» ナイス加齢!ドラマ「シッコウ!!」の情けない織田裕二から香る和製ジャック・ニコルソンの予感
» 「誰かトムを止めて!」ムチャをする61歳トム・クルーズに熱視線!
» ワイルド&タフ&エモーショナル! 止まらないTM NETWORK 結成40周年の進化
» 松潤、松ケンに仲 里依紗に冨永 愛! 世は「時代劇」再ブーム時代? ‟勝手にちょんまげ神7”も発表

田中 稲(たなか いね)

大阪の編集プロダクション・オフィステイクオーに所属し『刑事ドラマ・ミステリーがよくわかる警察入門』(実業之日本社)など多数に執筆参加。個人では昭和歌謡・ドラマ、都市伝説、世代研究、紅白歌合戦を中心に執筆する日々。著書に『昭和歌謡出る単1008語』(誠文堂新光社)など。
●オフィステイクオー http://www.take-o.net/

Column

田中稲の勝手に再ブーム

80~90年代というエンタメの黄金時代、ピカピカに輝いていた、あの人、あのドラマ、あのマンガ。これらを青春の思い出で終わらせていませんか? いえいえ、実はまだそのブームは「夢の途中」! 時の流れを味方につけ、新しい魅力を備えた熟成エンタを勝手にロックオンし、紹介します。

2024.01.26(金)
文=田中 稲