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伝統建築で過ごす極上のくつろぎ時間

 フロントホールを含む伝統建築棟と茶室は、前身の「白銀屋」から受け継いだ国の有形文化財。加賀の伝統的な建築様式である紅殻(べんがら)格子が美しく、北大路魯山人も好んで逗留した由緒ある建物です。いまの形になったのは、200年ほど前とのこと。2014年から2015年にかけては大規模な修復が行われ、次の100年へと歩き出しています。

 修復を担当したのは、東京の歌舞伎座や水天宮など数々の重要文化財の修復を担当してきた、株式会社社寺建の山本信幸棟梁。わずかに傾いていた建物を建て直すため、柱や梁を1本1本取り外し、組み直す過程で丁寧に塗りも施しています。

 2024年3月には、2階部分を利用したラウンジがオープン予定。九谷焼や山中塗など、伝統工芸品の器で、夕食後にお酒やおつまみを楽しめるようになるそう。紅殻格子越しに見えるのは、山代温泉の優美な夜景。宿のコンセプトである「加賀王道の華やか滞在~新しい感性が息づく温泉旅館~」に沿った、風情豊かな空間が期待されます。

伝統工芸がくつろぎの空間を華やかに演出

 客室は、全室にローベッドとソファを配し、加賀友禅などの伝統工芸品を随所に取り入れたご当地部屋「加賀伝統工芸の間」。全48室のうち18室は温泉露天風呂付きで、好きな時間に好きなだけ“美人湯”と呼ばれる温泉を楽しめます。

 客室サインやキーホルダー、茶器などの器は色鮮やかな九谷焼。この地に息づく伝統工芸の美しさや愛らしさが身近に感じられます。

 星野リゾートが全国22カ所に展開する温泉旅館ブランド「界」。「王道なのに、あたらしい。」をテーマに、季節の移ろいや和の趣、伝統を活かしながら現代のニーズに合わせたおもてなしを追求しています。

 石川県山代温泉の「界 加賀」は、前身の「白銀屋」から継承した伝統建築や器、文人墨客との交流をモダンな感性で今に伝える宿。後編では、加賀文化を満喫できるアクティビティを中心にご案内します。

界 加賀

所在地 石川県加賀市山代温泉18-47
電話番号 050-3134-8092(界予約センター)
宿泊料金
◆2名1室利用時 1名あたり31,000円~(サ込・夕朝食付き)
客室数 48室
チェックイン 15:00/チェックアウト 12:00
アクセス JR加賀温泉駅から車で約10分
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikaga/
●Wi-Fiあり

次の話を読む「界 加賀」【後篇】 大迫力の加賀獅子舞や金継ぎ、 茶の湯体験でご当地文化に親しむ

Column

ディスカバリーのその先へ 星野リゾートで体験する、新しいニッポンの魅力

日本全国、その土地土地の魅力合わせた宿泊提案をする星野リゾート。その星野リゾートでの宿泊体験を通して、日本の魅力を再発見してみませんか? 

2023.12.29(金)
文=伊藤由起
撮影=志水 隆