この記事の連載

 岐阜県・奥飛騨温泉郷の玄関口、平湯温泉の湯宿「界 奥飛騨」。冬の静寂に包まれながら雪見風呂を楽しんだり、木のぬくもりに包まれた客室で心豊かなおこもりステイが叶います。後篇では、郷土色豊かな朝食や、伝統工芸を体験できるアクティビティ、「界」ブランドでは初となる“おひとり様専用客室”もご紹介します。


体操で体を目覚めさせお楽しみの朝食へ

 ぐっすり眠った翌朝の目覚めは、いつもよりずっとさわやか。客室のお風呂にザブンとつかり、その勢いで朝の「現代湯治体操」へ。キンと冷えた空気、湯の川や足湯からのぼる湯けむりに包まれながら、深い呼吸とストレッチを行います。※天候により会場変更の可能性あり。

 こわばった体をほぐし全身の巡りを良くしたところで、お楽しみの朝食へ。鉄鍋に入って登場したのは、干し野菜と豚肉の味噌鍋。寒干しした大根、紅芯大根、にんじん、かぼちゃ、茄子などの野菜がたっぷり入っています。

 干すことにより旨みが凝縮した野菜は、とても滋味深く独特の歯応えがあり満足度大。みずみずしいサラダには、黒胡麻と荏胡麻(えごま)を自分ですったものに柚子味噌オイルと合わせた香り豊かなドレッシングで。

 川魚の甘露煮=ぼっか煮は、ほろりと柔らかく、ご飯がすすむおいしさ。ぼっかとは、物資等を背負って運搬することを表す飛騨地方の言葉=歩荷(ぼっか)から来た言葉だそうで、その昔、越中富山から飛騨の山を超えて信州へ鰤などを運ぶ人たちのことを「ぼっかさ(さ=さん)」と呼んだのだとか。

 このほか、きびの朴葉蒸し、牛しぐれ、赤かぶらの“めしどろぼ”漬け、生姜の醤油漬けをのせた豆腐など、色とりどりで味わい豊かなおかずに、ご飯をおかわりせずにはいられません。

2024.12.31(火)
文=伊藤由起
写真=志水 隆、伊藤由起
写真協力=界