この記事の連載
「界 加賀」【前篇】
「界 加賀」【後篇】
ふと気づけば蟹に夢中の無言タイムに突入
刺身は、氷水にくぐらせ“花咲き”に。ほどよい弾力、ねっとり感がたまりません。地元で人気の香箱蟹(メスのずわい蟹)は、オスに比べて身質が繊細で旨味が強く、プチプチの外子(卵)と、濃厚な内子(未成熟の卵)、蟹みそも絶品。上品な脂がのった寒鰤の刺身も鮮度抜群です。
続いて、香ばしく甘みが際立つ焼き蟹と、蟹みその凝縮した旨みにお酒が進む甲羅焼き、カダイフを巻いた錦糸揚げ、蟹と野菜のおひたし、前述の蒸し蟹(しめ縄蒸し)へ。蟹に夢中の無言タイムを経て、さらに蟹すき、蟹の旨みたっぷりの出汁で作る雑炊を平らげる頃には、日頃のストレスもどこへやら。これはもはや、食べるリトリートと言えましょう。
![サクサクのカダイフと蟹の甘みが口の中で踊る「活蟹の錦糸揚げ」。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/0/0/1280wm/img_00af6abd2b3ceb8ec592f89b4addb734121081.jpg)
![三杯酢に浸した「活蟹、金時草、蓮根」でお口を一旦リセット。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/8/b/1280wm/img_8b2d0195d279257de9c5c09acc38689669057.jpg)
![「活蟹すき鍋」は、たっぷりの蟹肉を最小限のつなぎで丸めた蟹だんご入り。](https://crea.ismcdn.jp/mwimgs/4/4/1280wm/img_44841ed92c99698cebc0a40835e13669124217.jpg)
蟹料理を彩るのは、九谷焼や山中塗の器。「白銀屋」から受け継いだものや、地元作家に依頼したオリジナルも多いとか。「器は料理の着物」と唱えた美食家、北大路魯山人の流儀にならい、料理と器の取り合わせにこだわっています。
「界 加賀」の蟹会席は、2024年2月29日(木)まで(年末年始の除外日あり)。「活蟹づくしのタグ付き蟹会席」60,600円~(2名1室利用時1名あたりの宿泊料金。税・サ込、夕朝食付き)。冬の北陸ならではの美味を存分に堪能できる会席コース。年に1度の贅沢にふさわしい一夜になること間違いなしです。
2023.12.29(金)
文=伊藤由起
撮影=志水 隆