●最新出演作で演じたのは、片思いする愛すべき役
――そして、最新出演作『スパゲティコード・ラブ』では、東京を舞台に、自らの存在意義や愛情を求めてさまよう13人の若者のなか、カフェで片思いの相手と噛み合わない会話をしている高校生・圭役を演じています。
この役も、オーディションで決まりました。圭は聞き上手というか、フラットな状態で、死生観など、いろんな話題を受け止める。なので、あまり気負わずに、どこか軽やかさみたいなものを大切に演じられたらいいなと思いました。でも、演じるうえで、いちばん大きかったのは相手役のxiangyuちゃんの存在。役者ではなく、ミュージシャンの方なのですが、パワフルなエネルギーをずっと発していたので、それを受け止めることで、圭を演じることができたのかなと思っています。
――本作では、どんな新しい青木さんが見られると思いますか?
内に閉じこもって、爆発してしまう役柄が続くなか、圭は「友だちにいてくれたらいいな」と思えるような愛すべき役だと思っています。とてもいい奴なので、映画を観終わった後に、たまに思い出してほしいですね(笑)。
●自分にしかできないものを作り上げたい
――今後は、NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」への出演も決定しています。
このお仕事をしている以上、「いつかは出たい」と思ってたので、とても有り難く思っています。また、学校や会社に行く前や一日の始まりに見る、日常生活の近くに存在するドラマだと思っているので、責任感みたいなものも感じています。僕が演じるのは、伸び伸びと育ってきた野球好きな少年・桃太郎。撮影はまだですが、今までやってきた役とは違う、愛されキャラは、とても新鮮なので、演じるのが楽しみです。
――将来の目標や展望、憧れの人などを教えてください。
これまでと変わらず、作品の大きさや規模に関わらず、ひとつひとつの作品と、しっかり向き合っていきたいです。そして、どんな役柄を演じても、ちゃんとそこに存在したいです。憧れは、演じる役にちゃんと血が通っていて、言わずとも、その人が歩んできたものが伝わる俳優さん。事務所(ユマニテ)や周りにいる先輩から学びを得て、ゆくゆくは自分にしかできないものを作り上げていきたいです。
青木 柚(あおき・ゆず)
2001年2月4日生まれ。神奈川県出身。16年、『14の夜』で映画デビュー。21年は、NHK「きれいのくに」でメインキャストに抜擢され、『うみべの女の子』ではW主演を務めたほか、ジョニー・デップ主演作『MINAMATA-ミナマタ-』にも出演。また、NHK朝ドラ「カムカムエヴリバディ」では桃太郎役を演じる。
『スパゲティコード・ラブ』
大好きなアイドルへの思いに区切りをつけるため、配達1,000回を目指すフードデリバリー配達員の天(倉 悠貴)や、カフェで片思いの桜(xiangyu)と噛み合わない会話をする高校生・圭(青木 柚)など。東京をさまよう13人の若者たちの行動が複雑に絡み合い、物語は思いも寄らぬ方向へと転がっていく。
https://happinet-phantom.com/spaghetticodelove
2021年11月26日(金)公開
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2021.11.26(金)
文=くれい響
撮影=松本輝一
スタイリスト=小笠原吉恵(CEKAI)
ヘアメイク=内田香織