このたび、シリーズ22年目にして初の『劇場版』が公開される「科捜研の女」。物理を専門とする研究員を演じた渡部 秀が、「いい男」に初登場! 出世作となった「仮面ライダーオーズ/OOO」の撮影エピソードなど、自身のキャリアを振り返る。

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●自分で夢を掴むしかないと、「ジュノンボーイ」に応募

――幼い頃の夢は?

 星を見るのが好きだったことから宇宙飛行士、植物が好きだったから花屋、パンを食べるのが好きだったからパン屋みたいに、自分の好きなものに囲まれたい願望が強かったです。あとは消防士にも憧れていましたし、たくさんの夢に溢れていたような気がします。

――学生時代にやっていた部活は?

 中学のときはサッカー部、高校のときは陸上部に所属していました。小学校のときは柔道をやりながら、スイミングスクールに通っていましたし、とにかく体を動かすことが好きなんです。ちなみに、陸上部のときは400メートルで県の3位まで行くことができました。

――高校在学中の2008年「第21回ジュノン・スーパーボーイ・コンテスト」を受けられました。

 もともと、ジャンルを問わず、ドラマや映画が好きで、よく見ていたんです。そして、『ゴールデンスランバー』の堺雅人さんに憧れていました。あるとき役者の醍醐味って、いろんな職業に就いて、その人の人生を送ることだと分かったんです。それで高校2年生のとき、自分で夢を掴むしかないと思い、勇気を振り絞って、応募することを決めました。

●ヒーローを演じることの自覚

――そして、見事準グランプリを受賞されます。

 自分の気持ちの中では、「落ちたら落ちたで、来年また受ければいい!」というぐらい腹を決めていたんです。それで、準グランプリに選ばれ、「役者として、やっとスタート地点に立てたんだな」と思ったことを覚えています。

――10年「仮面ライダーオーズ/OOO」にて、主人公のオーズ/火野映司を演じられます。オーディションの様子はいかがでしたか?

 上京して初めて受けたオーディションだったのですが、僕は特技など、人に自慢できることが一切ないので、オーディションのときに特別アピールしたりしなかったんです。5、6人に絞られた最終オーディションでも、プロデューサーさんや監督さんたちと、「普段何してる?」というような雑談をずっとしていて、「これで大丈夫なのかな?」と思うほどでした。ヒーローになることも、子供の頃からの夢のひとつでした。決まった後に、プロデューサーさんから「いちばん役に合っていたよ」と言われて嬉しかったです。運が良かったんだと思います。

――ライダーとしての1年間を通じて学んだことは?

 1年間同じ役を演じるということは、もちろん人生初の経験でしたし、東日本大震災と重なったこともあり、子どもたちのファンレターにより、ヒーローを演じることの自覚を知らされました。また、キャストを引っ張っていくなど、責任の重さを強く感じる1年でもありました。

2021.08.13(金)
文=くれい 響
撮影=末永裕樹