福山リョウコの人気コミックを映画化した『覆面系ノイズ』で、覆面バンド「in NO hurry to shout;(イノハリ)」メンバーであるクロを演じた磯村勇斗。朝ドラ「ひよっこ」ヒデ役での好演も記憶に新しい彼が、25歳のリアルを熱く語る。
映画監督を目指し始めた中学時代

――中学生の頃に、自主制作した映画がきっかけで役者を目指すようになったそうですが、それはどんな作品だったんでしょうか?
僕が通っていた沼津の中学校で、スイスの学生さんと交流をするという行事があったんです。それで中2のときに、その一環として、「映像で何かを作れたら面白いんじゃないか?」と思い、「沼津の少女ハイジ」という「アルプスの少女ハイジ」のパロディみたいな短編映画を撮ったんです。主演・撮影・編集など、やれるものは、すべて自分でやりました。
――もともと映画に対して、興味があったんですか?
そうですね。髪の毛をピンで留めて、スカートを履いて、ハイジ役も演じたんですが、小さい頃から映画が好きだったこともあって、出るだけじゃなく、自分で撮ってみたいとは思っていました。そして、それを全校生徒のみなさんに観ていただいて、拍手とか評価のお言葉をもらったときに、こういう幸せな仕事が将来できたらいいなと思い始めたんです。

――その後、高校生になると、お芝居を学ぶために地元・沼津の劇団に入り、舞台に立たれていたそうですね。
早く事務所に入り、東京で活動したかったんですが、両親の反対もあったので、高校に通いながら、地元の劇団で演技を学ぶことにしたんです。それで1年ぐらい演技を学んで、舞台に立たせてもらったんですが、いわゆるギャラを頂戴してお芝居をするという、プロと同じことをさせていただき、その重みみたいなものを感じました。その頃は、特に目標はなく、ただただお芝居をしたいという想いだけだったので、いい経験だったと思います。
2017.11.17(金)
文=くれい響
撮影=白澤 正