密室サスペンスの先駆けとして、世界中でカルト的人気を誇る『CUBE』を、日本を代表する豪華キャスト陣により映画にリメイク。菅田将暉、杏、岡田将生らを相手に堂々の演技を魅せる現役中学生・田代輝が、撮影エピソードなどの思い出を語ってくれました。

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●小学生になり、演技をすることが楽しくなった

――幼い頃の夢は?

 僕は赤ちゃんの頃から広告モデルなどのお仕事をしていたのですが、幼稚園ぐらいまでは、何かになりたいといった夢は特にありませんでした。でも、小学生になって、演技をすることが楽しいと感じるようになり、将来は俳優になりたいと思いました。Eテレの「で~きた」という番組で、主人公のおうすけ役をやらせていただいたことがひとつのきっかけになったと思います。

――オーディションや演技レッスンなど、大変なことはありますか?

 オーディションは物心ついたときから受けてきているので、今は大変さというより落ちてしまったときに、「また次に向けて頑張ろう!」とネガティブになりすぎないようにしています。その分、決まったときはすごく嬉しくて、どの作品も合格したときにはとても喜んだことを覚えています。

 演技レッスンは、小学5年生のときに今の事務所(スターダストプロモーション)に入ったことで、初めて受けました。今も続けていますが、とても楽しいです!

――2018年、舞台「テイルズ オブ ザ ステージ -ローレライの力を継ぐ者- EMOTIONAL ACT」では、新井雄也さん演じる主人公アッシュの少年時代役を演じられました。

 舞台はこのときだけなのですが、映像での演じ方や発声とは違っていましたし、撮り直しがきかないことで、とても緊張していました。今思い返すと、それが面白かったように思えます。その年の夏休みは、ずっと稽古と本番ですごく濃い時間を過ごしました。ちょっと大人びた感じや生意気なアッシュのキャラクターを新井さんと確認したりして、とても勉強になりました。

●「ノーサイド・ゲーム」でのいじめっ子役で注目

――その後、19年にはKis-My-Ft2「君を大好きだ」のMVに出演されます。

 メンバーのみなさんの小さかった頃という設定で、同世代の子たちと共演したのですが、僕は宮田俊哉さんの役を演じました。現場で宮田さんとお会いすることはできなかったので、どう演じるべきか悩みましたが、好きになった女の子のために頑張るというストーリーで、変顔をしたり、寂しい表情をしたり、自分ができる限りのことを頑張りました。

――また、19年に放送されたドラマ「仮面同窓会」では、廣瀬智紀さんが演じられた片岡の幼少期を演じました。

 確か3次オーディションぐらいまであって、合格した役です。万引きをしてしまったり、感情的になったり、誤って人を崖の上から突き落としてしまうという、とても難しい役でしたが、「このセリフを言っているときは、どんな気持ちだろう?」ということを常に考えながら演じました。

 僕のクラスで2人ぐらいドラマを見ていた子がいて、先生がいるそばで「万引きしていたね」と言われたときには、誰かに勘違いされないか、ドキッとしました(笑)。

――そして、19年のドラマ「ノーサイド・ゲーム」では、大泉洋さん演じる主人公の息子・博人をいじめる龍一役を演じました。

 このときも3次オーディションぐらいまでありました。普段そんなことはしないので、いじめっ子になりきるのが難しかったのですが、本番のときには自分を忘れるようにして演じました。僕の演技を見てもらえることはとても嬉しいのですが、このときもドラマを見た同級生から「いじめっ子だ!」と言われて、誰かに勘違いされないか焦りました(笑)。

●作品の力になれるよう努力した『CUBE 一度入ったら、最後』

――20年、ドラマ「FAKE MOTION -卓球の王将-」では、事務所の先輩である森崎ウィンさん演じる近藤の幼少時代を演じています。

 卓球がテーマのドラマだったので、撮影前にコーチの方に、ラケットの持ち方や振り方などを教えてもらいました。これまで、撮影のために何かを練習するという機会があまりなかったのですが、卓球の面白さを知ることができましたし、役作りの楽しさを学ぶことができました。

 あと、孤児院育ちのメンバーから“マザー”と呼ばれる役柄だったので、女性らしい立ち振る舞いや口紅を塗ったりする経験もしました。今後も、いろんな役柄に挑戦していきたいです!

――そして、千陽役を演じた『CUBE 一度入ったら、最後』では主要キャストの一人として出演されました。

 このオーディションのお話をいただいたときは、どこか難しそうな気がして、受かる自信がありませんでした。でも、僕は千陽と同じ中学生ですし、事前にいただいた台本をしっかり読み込み、自分ができることを精一杯やって、千陽と同じ感情に近づけようと思いました。オーディションでは、監督から演技だけではなく、家族に関する質問があったことも覚えています。その日のうちに結果が出たのですが、本当に嬉しかったです!

――主演の菅田将暉さんのほか、杏さん、岡田将生さん、斎藤工さん、吉田鋼太郎さんとともに、密室劇の主要キャストに選ばれたことで、緊張やプレッシャーみたいなものはありましたか?

 撮影前からずっと緊張していて、できる限り作品の力になれるようにしっかり練習しました。あと、台本には書かれていない千陽のキャラクターについて、家庭環境や心情など、いろいろな想像を膨らませながら、ノートに書き出すこともしました。

 たとえば、菅田さんが演じた後藤さんに対しては「信用してもいいかも?」、岡田さんが演じた越智さんに対しては「ちょっと苦手かも?」、杏さんが演じた甲斐さんに対しては「不思議さがある」といった、ほかの5人に対する感情は、監督からのアドバイスもあり、一生懸命考えました。

2021.10.15(金)
文=くれい響
撮影=末永裕樹