●菅田さんのようなカメレオン俳優になりたい

――共演者の方とのエピソードを教えてください。

 みなさん、とても優しい方で、たくさんお話ししました! 例えば、休憩時間に僕が数学の勉強をしていたとき、岡田さんが教えてくださいました。岡田さんは『CUBE』の前の現場で、教師役を演じられて、数学の勉強もされていたそうです。役作りの過程で、教師の振る舞いだけではなく中身まで徹底されていることを知り、とても勉強になりました。

 また、あるシーンで、僕が10テイクぐらいNGを出してしまい、内心焦ることがありました。そのとき、菅田さんが「大丈夫だよ。俺はこのシーンに一週間でも、一か月でも付き合うよ」と優しく声をかけてくださり、その一言で、リラックスしたことも覚えています。

――この映画では、どのような田代さんが見られると思いますか?

 僕は千陽と同じ中学生ですが、気持ちを理解するのが難しいところもあり、たくさん悩みました。千陽の繊細な感情の変化や動作にも注目して観ていただきたいです。あと、これまで苦手だった泣く演技も、監督や杏さんからアドバイスをいただいたことで乗り越えられたので、ぜひ観ていただけたら嬉しいです。

――将来の夢、そして目標とする俳優を教えてください。

 将来は役柄によって、演技を使い分けることができるようなカメレオン俳優になりたいです。憧れの俳優さんはたくさんいますが、今回ご一緒させていただいた菅田さんのように、どんな役も演じられるようになりたいです。

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田代輝(たしろ・ひかる)

2007年11月17日生まれ。東京都出身。幼少時から活動し、Eテレ「で~きた」などに出演。その後も、「仮面同窓会」「ノーサイド・ゲーム」「FAKE MOTION -卓球の王将-」などのドラマに出演。本作『CUBE 一度入ったら、最後』は、主要キャストとして初の映画出演となる。今後は、来年1月放送予定のNHK BSプレミアム「旅屋おかえり」の1・2話に出演する。

『CUBE 一度入ったら、最後』

突然、謎の立方体=CUBEに閉じ込められた男女6人。エンジニアの後藤(菅田将暉)、団体職員の甲斐(杏)、フリーターの越智(岡田将生)、中学生の千陽(田代輝)、整備士の井手(斎藤工)、会社役員の安東(吉田鋼太郎)と、年代も職業もバラバラな彼らには、何の接点もつながりもない。理由もわからぬまま、ひたすら脱出を試みる彼らに、熱感知式レーザー、ワイヤースライサー、火炎噴射といった殺人トラップが襲う。
https://movies.shochiku.co.jp/cube/
10月22日(金)より全国公開

Column

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2021.10.15(金)
文=くれい響
撮影=末永裕樹