木村佳乃の息子役を演じたドラマ「恋する母たち」で、一躍注目を浴びた藤原大祐。「めざましテレビ」マンスリーエンタメプレゼンターなど、マルチに活動している彼が、このたび公開される映画デビュー作などについて振り返ります。

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●2歳半から続けているピアノ

――幼い頃に持っていた夢は?

 ゼロからイチを生み出すような世界で通用する発明家や起業家、たとえばスティーブ・ジョブズのような人に憧れていました。いろんな人の生活に携われるモノやシステムを作りたかったんです。

――ちなみに、習い事はしていましたか?

 まずは、2歳半の頃からピアノを習い始めて、それは今も続けています。その後に、アニメ「イナズマイレブン」を見た影響もあって、地元のサッカーチームに入りました。そして、サッカーには体幹を鍛えるのがいいという話を聞き、ヒップホップダンスもしていました。

――事務所(アミューズ)に入ったきっかけは、一枚の写真だったそうですね。

 中学3年生になった頃からスカウトの方に声をかけていただくようになり、「もしかしたら、向いているのかも?」という意識はありましたが、「まだ動き出すのは早い」と思っていたんです。そんなとき、なぜか僕の写真が親から事務所の人の手に渡り、オーディション会場に行くことになり、それをきっかけに芝居のレッスンをすることになったんです。さすがに全然できなくて、とても悔しかったことを覚えています。

●身を委ねながら、ぶつかっていったデビュー作

――当時、憧れていた俳優などはいましたか?

 この人みたいになりたいという方はいなかったのですが、好きな俳優はリヴァー・フェニックスです。映画好きな親の影響もあって、『スタンド・バイ・ミー』を観たのがきっかけに好きになりました。

――そして、最初のお仕事が、このたび劇場公開される映画『愛のまなざしを』だったそうですね。

 経験も兼ねて、初めて受けることになったオーディションだったのですが、祐樹役に僕を選んでいただいて、とても光栄でした。そして、右も左も分からないなか、2019年の秋に撮影しました。言ってみれば、真っ白なキャンバスみたいなものなので、万田邦敏監督に身を委ねながら、作品の色を壊さないように、ぶつかっていこうという気持ちが強かったです。現場では待ち時間の雰囲気も含め、みんなで作り上げていくような感じがしました。

――そんな初めての現場では、どんなことを感じましたか?

 単純に芝居の楽しさみたいなものはありましたが、これまで僕が画面越しに見ていた俳優さんと感情のぶつかり合いができるということは、とても新鮮でした。万田監督、仲村トオルさんと3人でディスカッションもさせてもらいました。それに、これからいろんな作品をやっていくと、それだけいろんな役者さんと出会えることへの期待みたいなものも感じました。

●振り切って、可愛さを出した「おじカワ」

――結果、どのような藤原さんが見られる作品になったと思いますか?

 僕にとって、初芝居、初現場ですから、確実にこの作品でしか出せない芝居をやっていると思います。2年ぶりに、この作品を見返したら、今と全然違うというか、芝居が上手いとか下手以前に、とにかく新鮮な感じがしたんです。

――続いて撮った作品が、壇蜜さんの相手役を演じた配信ドラマ「中3、冬、逃亡中。」ですね。

 これもオーディションに受かっていただいた役で、20年の2月ぐらいに撮影しました。タイトルにもなっている中学3年生の翔太役を演じたので、責任感みたいなものはありましたが、プレッシャーはありませんでした。どこかで、根拠のない自信がありました。

――20年にはドラマ「おじさんはカワイイものがお好き。」に出演されます。

 「おじカワ」は僕のターニングポイントというか、地上波で放送されたこともあり、いろんな方に観ていただくことができました。有難いことに反響が多く、どこか僕の中で勢いがついた作品のような気がしますし、表に出る人間になったという実感も強くありました。真純を演じるうえでは、常に可愛さを求められました。なので、自分の中で振り切ってやりました。

2021.10.29(金)
文=くれい響
撮影=深野未季
ヘアメイク=時田ユースケ(ECLAT)
スタイリング=勝見宜人(Koa Hole inc.)