●映画や映画人が好きであるという思い
――現在までに、出演映画100本を超えますが、転機となった作品は?
やはり、原田芳雄さんと共演させていただいた『ナイン・ソウルズ』ですね。芳雄さんとの別れのシーンで、脚本になかったセリフを言うことになって、そのときの空気感がこれまでになく心地良かったんです。でも、どこかでモヤモヤしていて、打ち上げのときに、そのことを芳雄さんに言ったら、「俺だって、どの芝居がOKなのか、ずっと分からないよ」と言ってくれて、それで「これでいいんだ」って、安心したんです。
――新旧さまざまな監督からの出演依頼が絶えない理由は、何だと思いますか?
なぜか気に入ってくれるというか、たまたま縁があっただけだと思いますよ。役者畑出身じゃないし、芝居について、あまり考えてないからかもしれない。豊田さんや風間さんのように、芝居することを排除する監督の作品から始めてますしね。ただ、この仕事をやっていくうちに、映画や映画を作ってる人をどんどん好きになったんですが、そういう思いみたいなものが伝わっているのかな?とは思います。
◆次回は最新主演作『酔うと化け物になる父がつらい』についても語っていただきます。
渋川清彦
(しぶかわ・きよひこ)
1974年7月2日生まれ。群馬県渋川市出身。ファッションモデル「KEE」として活躍後、98年『ポルノスター』で俳優デビュー。これまで100作以上の映画に出演するなど、日本映画界に欠かせない名バイプレイヤーとなる。「第32回日刊スポーツ映画大賞・石原裕次郎賞」 助演男優賞、「第34回高崎映画祭」最優秀助演男優賞を受賞。
『酔うと化け物になる父がつらい』
普段はおとなしいのに、酔うと豹変する父・トシフミ(渋川清彦)の行動に悩まされ、いつしか自分の心にフタをして過ごす長女・サキ(松本穂香)。そんな家族の崩壊を漫画として笑い話に昇華することで毎日を生きていた彼女だったが、ある日、父に病気が見つかる。
3月6日(金)より、新宿武蔵野館ほか全国ロードショー
https://youbake.official-movie.com/
(C)菊池真理子/秋田書店 (C)2019 映画「酔うと化け物になる父がつらい」製作委員会
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2020.02.28(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
ヘアメイク=山崎惠子