●改名のきっかけは時代劇

――『ナイン・ソウルズ』(03年)などの豊田監督作のほかに、『火星のカノン』(02年)、『せかいのおわり』(04年)などの風間志織監督作でも、注目されていきます。

 風間さんの映画では、精神が崩壊しそうになります(笑)。でも、食らいついていきますけど。女性ですけど、どこか男っぽいし、独特な世界観を持たれている。風間さんも豊田さんも、カメラ脇から芝居というか、人を見ているイメージが強いですし、20、30とテイクを重ねていくところも似てますね。

――06年には、現在の芸名に改名されますが、そのきっかけは?

 これも風間監督の『せかいのおわり』の頃の話で、ちょうど30歳ぐらいだったんですが、どこかで節目という意識がありました。そのとき、時代劇にハマっていたこともあって、もし今後、時代劇に出ることになったら、「クレジットにKEEって、どうなの?」と思ったんです(笑)。本名の田中だと、あまりに普通すぎるじゃないですか。国定忠治や清水次郎長も地名から取っているので、俺も出身地の群馬県の渋川から取ってみたんです。今考えると、その発想って、どこか演歌歌手みたいですね。

2020.02.28(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖
ヘアメイク=山崎惠子