本連載、2011年12月の登場以来、美少年から美青年へ著しく成長を遂げた高杉真宙が再登場!「仮面ライダー鎧武/ガイム」でのブレイクを経て、現在初の主演ドラマ「明日(あした)もきっと、おいしいご飯~銀のスプーン~」が放送中の彼が、15歳からの3年半を振り返る。

役柄を演じる感覚がまだなかった15歳

――初主演映画『カルテット!』が公開された12年は「13歳のハローワーク」「高校入試」のほか、「平清盛」で初めて大河ドラマにも出演しましたが、そのときの心境を教えてください。

 当時は、今と比べると、その役柄を演じるという感覚はまだまだなかったと思います。演じるとはどういうことなのか、僕が演じる役が置かれている環境や、役がどうしてこういう状況にいるのかなど、そういう背景までは考えられていませんでした。あえていうなら、マネージャーさんと一緒に現場に行って、ある程度、自分で考えてきた表情を作って、覚えたセリフを言う、という感じに近かったかもしれません。「高校入試」(ドラマ)のときに、3歳年下の(清水)尋也と共演したのですが、尋也はどんな状況下に置かれても現場で楽しみながら演技をしていたのでスゴいと思っていました。当時の僕にはそういうことができなかったので。

――ちなみに「13歳のハローワーク」で演じたのはマンガ家志望の少年だったわけですが、今考えると漫画・アニメ好きな高杉さんにはたまらない役柄だったのでは?

 当時って、実はそういうオタ活(オタク活動)がいちばん激しくて、一日一冊は読まないと気が済まない身体になっていたんです。でも、そのことをちょっと隠していた時期でもあります(笑)。でも、役柄的には嬉しかったです。僕にとって漫画は、読むのが好きでも、自分で描きたいわけじゃないんですが、あの役を演じたことで、マンガ家さんって本当に大変な職業だなと思いました。

――すでにその頃は福岡から上京して、仕事をされていたわけですが、ホームシックになって、福岡の地元に帰りたいと思ったことはありましたか?

 それは一切なかったですね。僕、そういう寂しさみたいな感情が欠落しているみたいなんです(笑)。ただ、実家では「カートゥーン ネットワーク」「アニマックス」「キッズステーション」「ディズニー・チャンネル」といったケーブル放送のチャンネルに加入していたこともあって、物心ついたころからずっとアニメに囲まれた生活を送っていたんです。でも、東京の家はそういうチャンネルに加入していないこともあって、「あれ、僕の日常にアニメがないっ!」って、ちょっと追い込まれはしましたね。

――ではその経験が、少し遡って2010年頃の深夜アニメとの出会いに繋がっていくわけですね。

 深夜まで起きていられるようになったとき、地上波でもアニメが放送されていることに気づいたんですね。それからどんどんハマッて、ガチなオタクになっていきました。当時は「けいおん!」の二期が放送されていた頃で、歌が好きで、原作も買っていました。でも、僕的には「Angel Beats!」や「デュラララ!!」の方が好きでした。面白いアニメに出会ったら、今度は原作を読み始めて、そこからは加速度的に……。アニメイトに行くことも多くなりましたが、僕はあまりグッズには興味がなくて、原作を揃えていましたね。

2015.07.10(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央