自分に対する挑戦でもあった「ライダー」としての1年
――そんななか、現場での雰囲気はいかがでしたか。二面性を持ったミッチの役作りでの苦労を交えて教えてください。
ミッチの役作りでは悩んだこともありましたが、試行錯誤した結果、声色を変えたり、目つきを変えたりするところに行き着きました。そうやって役作りについて悩むことも楽しかったです。現場も楽しかったですよ。周りの方々もお兄さんばかりで、みなさんに優しくしていただきました。1クール3カ月の普通のドラマとは違う、チームとしての連帯感も感じましたし、現場に行く=みなさんに会いにいくことが楽しくてしょうがなかったです。なかでも、久保田(悠来)さんとは今もよく連絡を取らせてもらっています。
――現場で自分の意見を出すようなことはあったんでしょうか。
撮影も後半になると、自分の中で強い意志が働いて、やりたいことを試してみたいと思うようになりました。そこで、まずは自分でやって、監督の意見やアドバイスを聞いて、新たな案を取り入れたりして、作り上げていきました。たとえば、クライマックスでの(主人公・葛葉)紘汰さんとの戦いのシーン。監督からはここで立ち去って歩きながらセリフを言って、と言われていたのですが、ここは崩れながらセリフを言いたいと意見を出しました。わがままだったかもしれませんが、どうしてもそうしたかったんです。
――「ライダー」の1年間を今、振り返ってみていかがですか。
やっぱり、1年間かけて47話を撮るということは大きな経験になったと思います。どれぐらい役柄について考えて、作り込んで、それをどれぐらいまで表現できるのか、自分に対する挑戦でもありました。ちなみに、脚本が「魔法少女まどか☆マギカ」の虚淵玄さんということで、一ファンの気持ちでも台本を読んでいたので、その優越感みたいなものも忘れられない思い出です(笑)。
2015.07.10(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央