『渇き。』で再共演したライバルの存在
――「ライダー」合間には『渇き。』の撮影に参加されましたが、そこで「高校入試」の清水尋也さんと再共演されましたよね。
『渇き。』では僕がイジメっコで、尋也がイジメられっコの役柄で、「高校入試」のときとは立場が逆転しているのが面白いよね、って盛り上がっていました。『渇き。』の現場に参加させていただいたのは1週間ぐらいだったんですが、現場に入ったら、まるで飛び出す絵本のように台本に書かれている世界観が出来上がっていたことには驚きましたし、スゴい緊張感があったことを覚えています。じつは人見知りなんですが、松永の格好をしたら、その世界観にすぐに溶け込めたのは良かったですし、「ライダー」と同じ時期に自分とまったく違う人物を演じられて楽しかったです。
――その後、清水さんも活躍されていますが、ライバル心みたいなものはありますか?
それは、もちろんありますよ! 僕、超負けず嫌いですから(笑)。『ソロモンの偽証』を観て、あの映画の世界観に尋也がいることに嫉妬してましたし、本当にあの映画の中の尋也はキラキラ光っていましたから、どうしても目で追いかけちゃうんですよ。楽しんで演技をしていたし、ずっとスゴいなぁと思っていました。
――その後、劇場公開された『ぼんとリンちゃん』は「ライダー」以前に撮影された作品ですが、小林啓一監督の抜擢理由が「思春期の男子ならではの性的なものを感じさせない」だったことについてはどう思いますか。
僕って、そういうものがないんだなぁ……と思いました。でも、それでリンちゃんに選ばれたわけですから、いいです(笑)。台本を読ませてもらったときに、本当に面白くて、これは自分だと思ったぐらいですから。リンちゃんを演じたいという気持ちと、ほかの誰かに演じてほしくない気持ちが強くありました。
~次回は現在放送中の昼ドラ「明日(あした)もきっと、おいしいご飯~銀のスプーン~」を中心に、高杉さんに語ってもらいます~
高杉真宙(たかすぎ・まひろ)
1996年7月4日生まれ。福岡県出身。事務所にスカウトされ、09年に舞台「エブリ リトル シング’09」で俳優デビューし、映画・ドラマ・舞台・CMなどで活躍。主演映画『ぼんとリンちゃん』では「ヨコハマ映画祭」最優秀新人賞を受賞。7月からはTBSドラマ「表参道高校合唱部!」も放送中。
「明日(あした)もきっと、おいしいご飯~銀のスプーン~」
早川家の長男・律(高杉真宙)は、母・恭子(富田靖子)、弟と妹と穏やかで温かな日々を送っていたが、恭子が長期入院することで事態は急変。母に代わって台所に立つようになる律だったが、彼の出生の秘密が明らかになる。
東海テレビ制作・フジテレビ系にて、毎週月~金 ひる1時25分~現在放送中
原作:小沢真理「銀のスプーン」(講談社「Kiss」連載中)
http://tokai-tv.com/ashita_gohan/
くれい響 (くれい ひびき)
1971年東京都出身。映画評論家。幼少時代から映画館に通い、大学在学中にクイズ番組「カルトQ」(B級映画の回)で優勝。その後、バラエティ番組制作を経て、「映画秘宝」(洋泉社)編集部員からフリーに。映画誌・情報誌のほか、劇場プログラムなどにも寄稿。
Column
厳選「いい男」大図鑑
映画や舞台、ドラマ、CMなどで活躍する「いい男」たちに、映画評論家のくれい響さんが直撃インタビュー。デビューのきっかけから、最新作についてのエピソードまで、ぐっと迫ります。
2015.07.10(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央