プロデューサーに直談判した『ストレイヤーズ・クロニクル』

――「ライダー」の1年間で学んだこと、現在の活動で役に立っていることなどがあれば教えてください。

 初めて主演というカタチで作品をやらせていただいたんですが、主演という責任重大な立場のなか、今まであまりなかった責任感が芽生えたり、これまで感じたことのない、いい緊張感に包まれて演じられたことは大きかったです。また、普通のドラマだったら3カ月ぐらい、映画でも1カ月から2カ月ですから、1年間というのは、長い分、キャストやスタッフとスゴく仲良くなれたことも大きかった。そういった経験があまりなかったので、みんなでひとつの作品を作ることの面白さを知ることができたのも大きかったですね。

――最新出演作となる『ストレイヤーズ・クロニクル』は、『GANTZ』と同じ佐藤貴博プロデューサーの作品ですが、どういうきっかけで出演が決まったんでしょうか。

 正直な話、『GANTZ』のときに、いい芝居ができなかったんです。そのせいもあってか、その後に佐藤さんが関わった映画のオーディションに行っても、一次オーディションすら通らなかった。それで「ライダー」が終わって、この映画の話があるというのを聞いたので、「あのときの僕とは変わりました!」ということを直接お話ししたくて、面談というカタチで、瀬々(敬久)監督と3人で会う機会を作ってもらいました。それで亘という役をいただいたのですが、実際に佐藤さんが「変わったな」と言ってくださってうれしかったです。

――今回演じられた亘は超腕力という特殊能力を持っていますが、どのような役作りをしたのでしょうか。

 アクションシーンが多い映画ということと、亘は割と華奢なんですけれど、馬鹿力という面白味のある役柄だったので、インする前に体重を5キロほど絞りました。あとはパワーを見栄えで表現するため、動きをあえて大きくしたりする工夫もしました。それから、監督から「亘をチャーミングに演じてくれ」と言われたんですが、役柄上「破綻」という状態に陥って、途中から人格が変わってしまうんで、どうしようかと悩みましたね。それでできるだけ「破綻」前後のギャップをつけることにしたんですが、監督からは「ロボットみたいにならないでほしい」とも言われていたので、人格は変わっても、もともとあったチャーミングさは残してみました。

2015.06.05(金)
文=くれい響
撮影=中井菜央