朝7時、佐渡市場での仕入れに密着取材

 今回は中野さんのルーティンを覗かせていただくべく、朝の仕入れから密着取材を決行。りきすしさわたの存在が一目置かれる理由を探ってきました。

 佐渡全島で獲れた魚が一堂に会する「佐渡市場」に集合。朝7時頃から順々に競りがスタートするなか、鮮魚を注視ししながらゆっくりと市場を歩き回る中野さんに目利きのポイントを尋ねてみました。

 まずは魚を手に取り、お腹の膨らみ具合を確認。太っているように見えて、餌が溜まっているだけのパターンも多いので触知しないと判断できないのだとか。

 その他にもエラの色が変わっていないか、背中のはりがあるか、しっぽが太いかどうか、などを細かくチェックして持ち帰る魚を見極めていきます。

 素人目に見るとパタパタ動いている魚は活きがよくて美味しそう! なんてついつい思ってしまいますが、血が回って乳酸が溜まっている状態なので鮮度も低下してしまっているのだとか。市場へ足を運んで魚と対面してみると、勝手に思い込んでたことや知らないことが山ほどあるんだと気付かされます。

 お目当ての魚をゲットした後は、場内に残って下処理にとりかかります。なるべく早く血抜きしないと臭みが残ってしまうので、素早くエラと尾を切ってホースを通し、水流していきます。このひと手間をかけることで、魚が持つ味のポテンシャルを活かすことができるのです。

 フグは神経締めにして死後硬直を遅らせます。血抜き同様に鮮度を保つためにはなくてはならない作業で、身の透明度にも大きな違いが出るのだとか。

2025.10.01(水)
文=星子莉奈
写真=石川啓次