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本町を灯す存在に。偶然が生んだ参夕のオープンと、この場所に込めた思いとは?

 オオカミブレンドと焼き菓子をいただきながらくつろいでいると、オーナーの川島さんがちょうどお店に。参夕(さんせき)をオープンするまでのいきさつを聞きました。「ここにお店を構えることができたのは、今思えば本当にご縁。ある日ここの前を通った時に、以前まであったお店が閉まっていることを知りました。本町通りは桐生でも代表的な場所。そんな通りのなかでも目立つ一角が暗いのはもったいよね、何かお店をはじめられないかなとなったんです」

 川島さんは桐生出身。もともと桐生市内でNILSというレストランを経営していることもあり、この場所をみんなが集えるようなカフェにすることを決めたそうです。夕方から営業するスタイルは、「夕刻を迎えてここに明かりを灯すことで、帰ってくる人の目印になるような、町のあんどんのような存在でありたいという思いから。観光で桐生にいらっしゃった人にも、気軽に立ち寄ってゆっくりと過ごしてもらいたいですね」

 偶然見つけた空き物件、そして自分が生まれ育った場所だからこそ明るくしたいという、川島さんの故郷愛から誕生した参夕(さんせき)。オープンから数年を経て、今では地元の人が集い、観光客の足休めとしても人気で、しっかり本町のあんどん役を果たしているようです。

参夕(さんせき)

群馬県桐生市本町2-5-7

 今回、吉岡さんと群馬県桐生市を旅したことで、ここが歴史ある織物産業や山の文化が根付く豊かな土地であることを知ることができました。同時に、旅中でお話しを聞いたみなさんが、それぞれに桐生愛をもっていることも。地元の人に愛されるのは、真に魅力的である証拠。次なる旅先選びに迷ったら、ぜひ桐生に足を運んでみることをおすすめします。

吉岡さん着用

シャツ 17,600円 中に着たTシャツ 9,900円 パンツ 27,500円 バッグ 17,600円/すべてアークテリクス

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2025.09.20(土)
取材・文=宮﨑真里江
写真=釜谷洋史