●自身を見返すことができたコロナ禍

――そして、映画初出演となった『五億円のじんせい』の現場はいかがでしたか?

 18年の4月に事務所に入って、撮影は6月だったんです。身体がガッチガチだったので、セリフを言いながら歩くことができないですし、セリフの覚え方すら分からなくて、かなり打ちのめされました。

 主演の望月歩くんは僕より年下なのですが、とてもキャリアがある先輩なので、圧倒的な違いを見せつけられました。それで、もっと頑張らないといけないと思って、演技レッスンを頑張り始めたのですが、年末ぐらいに、「騎士竜戦隊リュウソウジャー」のオーディションのお話があったんです。

――19~20年に放送された「騎士竜戦隊リュウソウジャー」では、カナロ/リュウソウゴールド役を演じられましたが、どのような現場でしたか?

 挨拶の仕方などのスタッフさんとの現場での関わり方や、カメラの前に立つ度胸、あとはお芝居、アフレコ、アクション、専門用語に至るまで、すべてを学ばせてもらう学校のような現場でした。

 長年、多くの若手俳優を見てきた方々なので、ダメなところははっきりダメだと言ってくれましたし、当時のプロデューサーの方が「下剋上球児」が終わった後に、「お疲れ様」と、ご飯に連れてってくださり、今でも親というか先生みたいな感覚ですね。

――当時コロナ禍になったことによる、苦悩や葛藤はありましたか?

 僕らの(戦隊)世代は、全国を回るイベントができなくなってしまい、仕事もストップしてしまったんです。そのため、番組収録が終わって半年間ぐらいはニートみたいな生活になってしまって、かなり心が折れましたね。

 でも、そのときに「自分は『戦隊』に出ていた」というプライドがあったことに気付き、「自分は何者でもない」と素直に認められるようになったんです。だから、コロナが明けてからちょっとずつですが、頑張れるようになりました。

2024.02.23(金)
文=くれい 響
撮影=末永裕樹
ヘアメイク=木内真奈美
スタイリスト=Shinya Tokita