この記事の連載

魯山人も愛した伝統工芸が息づく宿

 「界 加賀」の前身である「白銀屋」は、稀代の美食家であり芸術家でもあった北大路魯山人が好んで逗留した宿のひとつでした。そのため、魯山人の手による書や器などが残されています。

 トラベルライブラリーに展示されている「いろは屏風」は、魯山人が酔った勢いで書いたと言われる作品。「いろはにほへと」から始まり、「わかよたれそつね」までしか書かれておらず、最後の「ならん(む)」の3文字がないのが見どころ。その前に力尽きて眠ってしまったのかも知れません。

 窓から見える中庭は、石川の文化が凝縮された「加賀の庭」。兼六園でも見られる2本足の琴柱(ことじ)灯籠が配され、九谷焼のカラフルでモダンなタイルが広がっています。川に見立てたタイルの上に掛かるのは、伝統建築棟と新館の宿泊棟を結ぶ太鼓橋。こうしたミニマムな世界観も、日本庭園ならではの魅力です。

かわいい九谷焼や上質のお菓子をお土産に

 お土産を探すなら、フロント脇のショップは必見。九谷焼の若手作家による器や、県内の銘菓、お茶など、センスのいいセレクトが評判です。ひと口に九谷焼といっても、さまざまな風合いがありますが、ここにあるのはモダンなデザインが大半。そば猪口やマグカップ、小皿、飯碗、箸置きなど、普段の暮らしに取り入れやすいものが多く、プレゼントにもぴったりです。

 また、全国屈指の甘い物好きで知られる金沢の銘菓もいろいろ。和菓子ひとつとっても、おいしいだけでなく、チョコレートやナッツなど洋の素材との組み合わせや、パッケージデザインが絶妙で、自分用にも欲しくなってしまいそう。「界 加賀」だけのオリジナルパッケージもあるので要チェックです。

 

 星野リゾートが全国22カ所に展開する温泉旅館ブランド「界」。「王道なのに、あたらしい。」をテーマに、季節の移ろいや和の趣、伝統を活かしながら現代のニーズに合わせたおもてなしを追求しています。

 石川県山代温泉の「界 加賀」は、前身の「白銀屋」から継承した伝統建築や器、文人墨客との交流をモダンな感性で今に伝える宿。2024年3月16日(土)には、最寄りの「加賀温泉駅」に北陸新幹線が開通し、関東からもぐっとアクセスしやすくなります。この機会にぜひ金沢の奥座敷で、温泉と伝統文化に浸る休日を楽しんでください。

界 加賀

所在地 石川県加賀市山代温泉18-47
電話番号 050-3134-8092(界予約センター)
宿泊料金
◆2名1室利用時 1名あたり31,000円~(サ込・夕朝食付き)
客室数 48室
チェックイン 15:00/チェックアウト 12:00
アクセス JR加賀温泉駅から車で約10分
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaikaga/
●Wi-Fiあり

← この連載をはじめから読む

Column

ディスカバリーのその先へ 星野リゾートで体験する、新しいニッポンの魅力

日本全国、その土地土地の魅力合わせた宿泊提案をする星野リゾート。その星野リゾートでの宿泊体験を通して、日本の魅力を再発見してみませんか? 

2023.12.29(金)
文=伊藤由起
撮影=志水 隆