●言霊に導かれた武道館への道
――ちなみに、リリック(歌詞)はどういったところで考えられているんですか?
本音が見えたときですね。なんか、面と向かって言っちゃいけないけど、みんな思っていることとか、気づいたときとかって、「これ曲になるな!」と思っちゃいます。
それを紙に書くこともあれば、スマホに残すこともあります。
――メジャーデビュー後、「革命」が池松壮亮さん主演のドラマ「宮本から君へ」のエンディングテーマになり、松居大悟監督作『アイスと雨音』では音楽を担当するほか、出演もされます。
「革命」が入っている2ndアルバムのジャケのイラストを新井英樹さんが描いてくださったり、池松くんもライブによく来てくれた縁とかもあり、お互いの熱量みたいなところが通じ合って「宮本から君へ」のタイアップが決まったんだと思います。
池松くんと一緒にライブによく来ていたのが松居監督。それでよく食事に行くようになり、『アイスと雨音』の原型となる、上演予定の舞台が中止になってしまって悔しがっているという話も聞きました。
それで「その悔しい気持ちが時間に解決されちゃったら、なかったことと一緒だぜ」みたいなことを言ったのを覚えています。
そんな私事が映画として残せたことは興味深かったし、初めての映画出演だったけど、ライブみたいで全然緊張しなかったです。
――2022年2月には、初の日本武道館での単独公演「”単独”@日本武道館」を成功させます。
「ラッパーだからデカいこと言わなきゃ!」っていう使命感から、最初のライブあたりから「武道館でやります!」とか言っていましたけど、もちろんできると思って言っていませんでしたね。
でも、言霊じゃないですが、だんだん自分もその気になっていったというか、それで武道館にたどり着いた感じです。曽我部さんじゃないけど、信じてくれる人がいっぱいいたし。
2023.11.03(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖