宮城県石巻市の離島を舞台に、漁師の兄弟と東京から来た漫画家の奇妙な共同生活と家族の再生を描いたヒューマンドラマ『さよなら ほやマン』。

 オール石巻ロケを敢行した本作で、映画初主演を務めたのがラップグループ「MOROHA」でMCを務めるアフロ。メッセージ色の強いリリック(歌詞)を得意とする彼がこれまでの足跡について振り返ってくれました。


●文章を先生に褒められたことがリリックを書くきっかけ

――幼い頃の夢を教えてください。

 親の影響もあって、小さい頃から野球好きだったんです。それで小学校3年生のときに、地元のリトルリーグに入ったこともあって、ずっと野球選手になりたかったです。

 高校時代まで野球を続けていましたが、ずっと下手っぴで補欠でした。でも、これまで野球を続けてきたというアイデンティティしかなかったので、そこにしがみつくように練習に行っていましたね。

――そんななか、ラップを始めるきっかけは?

 中学の頃は人並みに流行りの歌を聴く程度でしたが、自分は作文を書くのがすごく好きだったんです。それを学校の先生に褒められたりするうちに、だんだん教科書の隅っこにポエムを書くようになり、それが歌詞になっていきました。

 それで高校3年の夏に野球部を引退から、ラップ好きの友だちと一緒にラップを始めました。

――それで、すぐに始められるものなんですか?

 ラップって、それがいいところで、誰でもすぐにやれちゃうんですよ。最初は普通に、バックトラック流して、ラップするオーソドックスなスタイルでやっていましたが、当時はラップをやってること自体が嬉しかったですね。

 「俺ら、ラップやってるんだぜ!」って、周りに言いたかったですし。そのうち、地元のラッパーとDJが集まって、7MC・1DJのクルーができていった感じです。

2023.11.03(金)
文=くれい響
撮影=平松市聖