この記事の連載

 BLを読んだことがない、あるいは、少し興味はあるけれど手が出せなかった――今回はそんな皆様のために、1年で2000作品ほど(コミックス+小説)を読み、BLソムリエ検定に合格したライターの寺尾真紀さんが、17作品をおすすめしてくれました。

 「男性同士の恋愛がテーマなんだな」という心づもりさえあれば、BLについてよく知らなくても、物語として楽しめる、心の琴線に触れる、そんな素敵な作品ばかりをご紹介。

 表紙からでもあらすじからでも、ピンときた一冊を、まずは読んでみて!これが、新しい世界への扉を開くきっかけになることを願っています。


【入門篇】

 入り口には、主人公の切ない想いに性別を超えて共感せずにはいられないような3作品を選びました。元々はBLとして描かれていない『窮鼠』ですが、この作品の求心力でBLの世界に、という方も。

◆『いとしの猫っ毛 ~小樽篇~』雲田はるこ

 小樽に生まれ育ち、幼なじみの恵ちゃんが大好きなみいくん。その気持ちを伝えたら今の関係は壊れてしまうけれど、恵ちゃんに彼女ができ、みいくんは行き場のない想いに迷う。相手を思うゆえの遠回りがもどかしくも愛おしい、繋いだ手のように温かな物語です。

『いとしの猫っ毛 ~小樽篇~』雲田はるこ

リブレ 702~922円 シリーズ7巻刊行中
©Haruko Kumota/libre

◆『窮鼠はチーズの夢を見る(オールインワンエディション)』水城せとな

 流され男の恭一は、妻のいる身で不倫中。そこに浮気調査員として大学の後輩・今ヶ瀬が現れ、浮気を隠す代償に関係を迫る。異性愛者として生きてきた男が同性から圧倒的な恋愛感情を寄せられる設定の中で「人を愛するとは?」の問いが突き詰められていきます。

『窮鼠はチーズの夢を見る(オールインワンエディション)』水城せとな

小学館 1,265円 全1巻
©水城せとな/小学館

◆『それでも、やさしい恋をする』ヨネダコウ

 人好きがして口がうまい出口と、優しく真面目な小野田。飲み友達のふたりだが、出口には秘密がある。自分はゲイで、いつからか小野田に惹かれていること……。友情が恋へと変わる流れが自然で、恋する出口の可愛さ、いじらしさに思わず感情移入してしまいます。

『それでも、やさしい恋をする』ヨネダコウ

大洋図書 723円 全1巻

2022.11.13(日)
Text=Maki Terao
Photographs=Ichisei Hiramatsu

CREA 2022年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

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