この記事の連載

◆『CANIS - Dear Hatter -』ZAKK

 NYでのショーに参加が決まった帽子職人・沓名は、居候のリョウを通訳として同行するが、NYはリョウにとって因縁のある場所だった。前半は沓名のものづくりの葛藤、後半はリョウの過去との対峙が中心。ふたりが強い信頼を築いていく様子にグッときます。

『CANIS - Dear Hatter -』ZAKK

竹書房 各814円 全2巻

◆『うしみつどきどき古書店譚』tacocasi

 下宿先の古書店主・陽蔵さんに微かな恋心を抱く小宮くん。ある日古書店で、陽蔵に思いもよらぬトラブルが発生する。京都を思わせる日常の風景と神様が登場する世界観が溶け合う和ファンタジー。無愛想アラフォー相手の恋の行方と、人間臭い神様たちに注目。

『うしみつどきどき古書店譚』tacocasi

東京漫画社 770円 全1巻

◆『スニップ, スネイル&ドッグテイル』ヤマシタトモコ

 バス運転手の安城と翻訳家の峰は、秋に出会った友人同士。安城の彼女が驚くほど急速に距離が縮まるが、そこには友情以上の雰囲気も。出会いから現在までが、時系列ではない出来事の断片で描かれます。独白も少なく、記憶を辿るような映画のような雰囲気が新鮮です。

『スニップ, スネイル&ドッグテイル』ヤマシタトモコ

祥伝社 681円 全1巻

◆『ワンルームエンジェル』はらだ

 惰性で生きている底辺男・幸紀のアパートに、口うるさくふてぶてしい天使が現れた。「飛べるようになるまで」という条件で、記憶のない天使との同棲生活が始まる。ぜひ読んでみてほしい、以外の言葉がありません。心が満たされる、限りなく優しい物語だと思います。

『ワンルームエンジェル』はらだ

祥伝社 770円 全1巻

●おすすめしてくれたのは……

寺尾真紀(てらお・まき)さん
ライター

オックスフォード大学実験心理学部卒業。2020年冬『窮鼠はチーズの夢を見る』をきっかけにBLの世界へ。1年で2000作品ほど(コミックス+小説)を読み、21年BLソムリエ検定に合格。 元々の読書属性は歴史小説と海外ミステリ。京都在住。

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2022.11.13(日)
Text=Maki Terao
Photographs=Ichisei Hiramatsu

CREA 2022年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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