この記事の連載

【長篇の名作篇】

 キャラクターの魅力や世界観が、読者を惹きつけてやまない名作です。恋愛が主題ではあるのですが、「家族」「救済」「情熱」といった普遍的なテーマも持っていて、読み返すたびに新しい発見があります。

◆『STAYGOLD』秀良子

 血の繋がりはあったりなかったり事情は複雑ながら、「家族」として暮らしてきた中山家に突然の嵐が。思春期の駿人が、叔父・優士への熱烈な恋心を宣言したのだ。10年という歳月をかけて変化していくふたりの関係性、家族や友人たちのドラマは、まさに胸熱です。

『STAYGOLD』秀良子

祥伝社 715~836円 全6巻

◆『25時、赤坂で』夏野寛子

 新人の白崎は、人気俳優・羽山の同性の恋人役に抜擢されるが、演技のコツが掴めず「男に抱かれてみよう」と決心する。役作りのための関係が次第に恋に変わる甘さ切なさ、美しいふたりのラブシーンにドキドキ。演技にかけるひたむきな情熱にも心を打たれます。

『25時、赤坂で』夏野寛子

祥伝社 748〜814円 既刊3巻

◆『囀る鳥は羽ばたかない』ヨネダコウ

 「男なら誰とでも寝る」と悪名高い若頭の矢代は、付き人兼用心棒として元警察官の百目鬼を側に置く。部下には手を出さない主義の矢代だが、百目鬼には。壮絶な過去を持つふたりの内面が濃密に繊細に描き出され、傷を抱えながら共鳴し合うさまに惹き込まれます。

『囀る鳥は羽ばたかない』ヨネダコウ

大洋図書 713~770円 既刊7巻

2022.11.13(日)
Text=Maki Terao
Photographs=Ichisei Hiramatsu

CREA 2022年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

「夜ふかしマンガ大賞」発表!

CREA 2022年秋号

「夜ふかしマンガ大賞」発表!

特別定価930円

「CREA」2022年秋号は「夜ふかしマンガ」特集です。慌ただしい日々を過ごしていると、眠りにつく前のひと時くらい、すべてを忘れてマンガの世界に没頭したくなりますよね。そこで、時代をあぶりだす社会派から、大人の胸キュン、話題の新人作品まで、ぜひ読んで欲しい名作を集めた「夜ふかしマンガ大賞」をお届けします! 今年最注目の第一位は――!?