この記事の連載

【表現の多彩さを堪能篇】

 BLの世界には、様々な才能や感性が溢れています。少しHなもの、というイメージが先行しがちですが、この8作品からも、多様な表現の一端を感じていただけるのではないでしょうか。

◆『3番線のカンパネルラ』京山あつき

 失恋から立ち直れずにいる加納は、この日もホームでぼんやり。すると〈ダメです!〉と高校生が飛びついてきた。もう恋はしたくない、でもひとりじゃ生きられない、と悩む加納が、新たな出会いを通してまた一歩踏み出す勇気をもらう姿に、明日への希望を感じます。

『3番線のカンパネルラ』京山あつき

祥伝社 748円 全1巻

◆『メロンの味』絵津鼓

 ライブハウスで働く中城は、ちょっとチャラめの常連客・木内に頼み込まれ、暫しの同居をOKする。微妙な距離感の同居生活は案外居心地が良くて。自分の居場所を見つけたくなったり、そばにいて癒やされる存在になりたくなったり、やわらかく心に染みます。

『メロンの味』絵津鼓

大洋図書 各737円 上・下巻

◆『年々彩々』秀良子

 怠け者の与平を見かねた貧乏神は、なぜか同居して家計を助けることに-死神に転職した貧乏神が出会ったのは、名前のせいで何百年も生きてきた長助という男-2つの落語作品をモチーフにした、儚くて淋しくて懐かしくて温かい、不思議な余韻の物語です。

『年々彩々』秀良子

祥伝社 681円 全1巻

◆『500年の営み』山中ヒコ

 250年間の冷凍保存から目覚めた寅雄を迎えたのは、死んだ恋人・光と瓜二つ、ではなく、全て3割減の残念ロボット「ヒカルB」。辛く当たっても一生懸命なヒカルに、意地っ張りな寅雄も次第に心を開き……。どこかに大切にしまっておきたくなるような一冊です。

『500年の営み』山中ヒコ

祥伝社 681円 全1巻

2022.11.13(日)
Text=Maki Terao
Photographs=Ichisei Hiramatsu

CREA 2022年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

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