総評 美しい! ◎
「美しい彼」、とても素敵なドラマです。
何より俳優陣。萩原利久と八木勇征に、平良と清居が憑依していて本当に素晴らしいです。
平良の思わず零れるにやけ顔や戸惑う顔、清居の相手を射抜くように妖しく美しい強い瞳は、役を演じているとは思えぬナチュラルさで、物語の世界に自然と吸い込まれていきます。
そして青春ドラマと謳っているだけあって、ただのラブストーリー要素だけではなく、高校生活のきらめきも憂鬱さも、性的な湿っぽさも、恋愛感情を抜きにした素を見せ合える友情も、なんでそうなる!? というコメディっぽさもあって、本当に色々な要素が繊細に織り交ぜられたストーリー構成。
先述したように、ナレーションでは文学的っぽい表現があるのに、胸にすとんと落ちてくる言葉やセリフも秀逸です。
これまでのストーリーだと平良目線から見た清居について描かれていましたが、逆目線になるとどうなるのでしょう? 個人的には清居も平良のことが好きなように見えますが……。
私はどうしても清居が平良のことを試しているようにしか見えません。
絶対言うなと釘を刺していたダンスのレッスンに通っていることを「なんで言わないの?」と聞いた時は、平良が心の声で言っていたように、「2人だけの秘密だから」と言って欲しかったのかなぁと思いますし。「写真好きなの?」と聞いた時には、コンテストの写真を平良に撮って欲しかったのだろうし。平良の家で2人きりの時、「麦茶かよ…次から(ジンジャーエール)買っとけよ」という言葉の裏には「また来るね」が隠されていたと思うし。
しかし! この清居の試すような言葉、平良に全く伝わらず……!
平良がド直球のまま受け取るわ、逆に変に深読みするわで、このすれ違い、上質なコントを見ているのか? と錯覚することもあります。
しかしそこで、清居が期待外れでガッカリしたような顔をしたり、焦って照れ隠しのような言動をしたりするのが可愛らしく、魅力的で愛おしいんですよ。
清居の可愛いポイントはまだあります。
第1話で清居が平良に向けた「お前、ウザい」や、「キモイ」は、本心で言っているのと、自分の抱えている感情が分からず、イライラしてぶつけている感じがするのに、第2話に突入すると、清居がぶつける「ウザい」や「キモイ」は照れ隠しのような感じがして。これまでより、少しだけ柔らかい表情をしているようにも見えるんですよね。
秘密の共有をして、お互い不思議と素を見せあえるようになったからでしょうか。彼の天邪鬼さが本当に可愛すぎます。(あれ…私、無意識のうちに清居を推し始めている…?)
さて、明日の第3話は大波乱の予感。
清居が窮地に追い込まれていますが、どうする平良、なぜ、ライフルを構えているの?
そして! 告白してるし! 手の甲にキスしてる? し! 清居の「じゃあな」も心なしか寂しそうだし……。
絶対に怒涛の展開が待っているはず!
きっと、卒業してもお互い忘れることのできない関係性が構築されかけているので、物語がここからさらに深くなっていくでしょう。これからも、2人を陰から見守るように応援します。いや、応援させてください!
畑井 優
ドラマ制作に携わりながら、ドラマをこよなく愛するドラマ大好きっ子。20代女子。好きなドラマのジャンルはミステリー。一番好きなドラマは「Nのために」(TBS 2014年)。
Column
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今クールのドラマ通信簿
ライフワークがドラマ鑑賞で、新しく素敵な俳優や監督、脚本家やスタッフを探して推すのが趣味という畑井優さんが、今クールのドラマの見どころを徹底紹介! 通信簿をつけていきます。
2021.12.01(水)
文=畑井 優