「ドラマがあれば生きていける」
ライフワークがドラマ鑑賞で、新しく素敵な俳優や監督、脚本家やスタッフを探して推すのが趣味という畑井 優さんが、今クールのドラマの見どころを徹底紹介! 通信簿をつけていきます。
今回は「古見さんは、コミュ症です。」(NHK総合 毎週月曜よる10時45分~11時15分)を採点。これまでの振り返りも含んでいるので未見の人はネタバレ注意。でもドラマ好きなら読んで損なしです!
毎週楽しみがある生活って、素敵なもの。好きなドラマがあればそんな素敵な生活が約束されますよ。
出演者たちの全神経が行き届いたキャラクター作り ◎
【あらすじ】
誰もが振り向くほど美しい女子高校生・古見さん(池田エライザ)は、実は人と話すことがほとんど出来ないという悩みを抱え続けている。高校生活スタートの初日、古見さんは、平凡で小心者の男子同級生・只野くん(増田貴久)と急接近。二人は、ある途方もない目標に向かって、ぎこちなくも健気な一歩を踏み出すのであった。
本当に個性的なコミュ症たちと、彼らを優しく海のように寛大な心で受け止める平々凡々な男・只野くんが織りなすこのドラマ。
俳優陣は最大でひと回り以上も歳の差があるにもかかわらず、全員同級生に見えるからあら不思議。作品を観ていると知らぬ間に「古見さんは、コミュ症です。」の世界に引きずり込まれてしまっているのです!!
この世界観は俳優たちの全神経が注ぎ込まれた個性強めのキャラクター造形から生まれていると思います。特筆したいほど感激したのは、万場木留美子を演じる吉川 愛。自分を指さしながら「あたしたち〜」というセリフがよく出てくるのですが、その自分を指している手が完璧にギャルなのです! 手首を90度に折り曲げて手のひらはパー、そして中指に若干力を入れたあの手の形……わかりますでしょうか。完璧にキャラクターになりきっています。
そして題名にもなっている古見さんを演じる池田エライザ。コミュ症で人と話せないので話したいことをノートに文字で書いて相手に伝えるのですが、その一挙一動が美しくて思わず見とれます。特に相手にノートを見せている時の手がとても綺麗で、その指先に古見さんの感情がちゃんと込められているのが伝わってきます。
ドラマを観始めてから原作である漫画も少し読んでいるのですが、そこで描かれている古見さんもノートを持つ手がとても美しいので、キャラクターとして原作をリスペクトしながら役作りをされていらっしゃることが窺えます。
あと、古見さんが照れている時や緊張している時、演技なのかメイクなのか……頬がポッと赤くなっているように見えるのです。表情はあまり変わらないのに、こんなに伝わってくることがあるのかと衝撃を受けながらも、その頬を紅く染めた表情が可愛すぎて天使かと思います……。
頭の先からつま先まで、役としての神経が全身に行き届いている俳優陣に是非ご注目してみてください。言わずもがな、◎です。
2021.10.10(日)
文=畑井 優