儚く美しい、甘酸っぱくむずがゆい青春ストーリー

©「美しい彼」製作委員会・MBS
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 「ドラマがあれば生きていける」

 ライフワークがドラマ鑑賞で、新しく素敵な俳優や監督、脚本家やスタッフを探して推すのが趣味という畑井 優さんが、今クールのドラマの見どころを徹底紹介! 通信簿をつけていきます。

 今回は「美しい彼」(MBSドラマ特区 毎週木曜よる24時59分~)を採点。これまでの振り返りも含んでいるので未見の人はネタバレ注意。でもドラマ好きなら読んで損なしです!

 毎週楽しみがある生活って、素敵なもの。好きなドラマがあればそんな素敵な生活が約束されますよ。


絵画のように美しい映像 ◎

©「美しい彼」製作委員会・MBS
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【あらすじ】

思うように言葉を発せない「吃音症」を持ち、幼いころから周囲になじめず“ぼっち”を極める男子高生・平良一成(萩原利久)。そんな彼の前に、学校のカースト頂点に君臨する圧倒的カリスマ・清居奏(八木勇征)が現れる。美しい清居を一目見た瞬間、平良は恋に堕ちる。

底辺“ぼっち”な平良と、学校の中心で美しくカリスマ的な魅力を持った清居の対極な男子高校生二人が織りなす、分不相応な恋心の行方は。

 ドラマの題名の通り、本当に美しくてきれいな画……。

 ファインダーを覗いて切り取った写真のように、毎秒その場の空気や温度感が伝わってくるような映像です。

 特に第2話の自転車二人乗り→ホースで水掛け合い→お庭で花火、の流れは眩しすぎました。背景の川に差し込む光の反射のきらめき、土手の草の青さ、そしてホースから出る水や、彼らから滴る水の一滴、花火の火花の輝き……。何ひとつ逃さないような映像で、その一瞬一瞬が平良と清居の思い出のアルバムに刻まれているかのようでした。

 平良と清居の心の距離が少しずつ近づくにつれて、映像は爽やかで瑞々しく、綺麗に光が差し込んで、鮮やかに色が映えていきます。青春の眩しさがより際立っていくようです。平良が知らず知らずのうちに恋をして、世界が色づいてゆく暗喩でもあるのでしょうか。

 さらに平良目線で描かれる清居は、思わず見とれてしまうような美しさがより際立っていて、彼が恋をしているのが映像からひしひしと伝わってきます。

©「美しい彼」製作委員会・MBS
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 清居が教室で寝ている時、掃除を押し付けられているのを守ってくれた時、境内でジンジャーエールを飲んでいた時、初めて家にやってきた時、清居が水を浴び始めた時。ひかえめな平良らしく、正面からではなく横や少し斜めから見た清居の姿がそこには映ります。

 ウェーブがかった綺麗な髪に隠された瞳が鋭く美しく、彼しかいないように世界が切り取られるような画で、本当に「美しい彼」そのものです。

 中でも、桜が舞う中を歩いてくる清居の登場シーンは圧倒的オーラと美しさであり、平良が本当に一目惚れをしたのが映像からすさまじく伝わってきます。

 まさに、題名通り! ◎です!

2021.12.01(水)
文=畑井 優