「真夜中にハロー」で1週間の元気をチャージ! パワー!

「ドラマがあれば生きていける」

 ライフワークがドラマ鑑賞で、新しく素敵な俳優や監督、脚本家やスタッフを探して推すのが趣味という畑井 優さんが、今クールのドラマの見どころを徹底紹介! 通信簿をつけていきます。

 今回は「真夜中にハロー!」(テレビ東京系 毎週木曜深夜24時30分~)を採点。これまでの振り返りも含んでいるので未見の人はネタバレ注意。でもドラマ好きなら読んで損なしです!

 毎週楽しみがある生活って、素敵なもの。好きなドラマがあればそんな素敵な生活が約束されますよ。

中毒性のあるストーリーと演出◎

あらすじ

ハロプロの熱狂的ファン・マリコ(菊池桃子)とその娘・ミサキ(大原優乃)が営むゲストハウス「サンプラザ朝沼」。そこには悩める宿泊客たちがやってくる。
口コミサイトでの評判はいまいちだが、コメントの中に「扉が、開く」という謎の言葉が。
扉は人生に悩む宿泊客の前に突然現れ、それを開くと、ハロプロの楽屋に繋がっていて……。

 あらすじを読んだだけではどういうドラマなのか、なかなか理解できないかもしれません……。

 しかし、1話通して観れば、このドラマの魅力やパワー、さらにはカオスさが30分間ずーっと画面から押し寄せてくる迫力に圧倒されること間違いなしです! 観ると気持ちが晴れて、翌日からの活力がもらえます。そして1週間が過ぎ、HPが底を尽きそうなときにまたパワーをもらいたくなり、思わずみてしまう。そんな中毒性のあるドラマです。

 それはもちろん、ストーリーと巧みな演出があってこそ。

 どの話も、悩んだり迷ったりした時に味わったことのある感情が描かれます。

 なぜ自分はこの仕事をやっているんだっけ。浮いているのは分かっているけど空気についていけない。後輩に嫉妬している気持ちなんか認めたくない。自分の存在意義って何。こんなつもりじゃなかったのに。などなど、ふとした時に感じるあるあるばかり。

 人から見たら些細な悩みでも、本人は出口が見えないトンネルに迷い込んだような不安な状況が長くずっと続く気がして、ここから抜け出せないのでは…となる苦しいあの感覚。映像が綺麗だからこそ、その切なさややるせなさがより際立ちます。そしてもう無理かもと思ったところへ必ず、ハロプロの楽屋へと続く「扉」が現れるのです。

 急に現れた扉なんか普通開けないだろ! とツッコミたくなりますが、つらい時や困った時って何かに縋りたくなりますよね…。それと同じように、誰もが思わず扉に吸い込まれていきます。

 扉の中の世界は夢のような世界。アクセル全開で駆け抜けていきます。画面の比率もそれまでと変わって横長になることで、そこがファンタジーな世界であることが明示的に表現されています。

 思い出やトラウマの場所で急にパフォーマンスが始まったり、突然舞台が屋上やステージに転換したりと中々のカオス具合でも、不思議とすんなり受け入れることができるのです。

 扉の中の世界で、もがいて悩みを乗り越えて前を向くことが出来たら、霧が晴れるように画面の比率が戻りながら元の世界に戻っていきます。頭や心の中がクリアになっていくメタファーのようです。

 また、パフォーマンスが終わって次のステージに向かう決意をした、各話ゲストたちの目と表情が眩しいほどに輝いていて本当に綺麗で美しすぎます。

 さらに元の世界に戻り、生き生きと過ごしている時に流れる音楽が、雨が上がって光が差した時のキラキラを表現するかのようなメロディで、ドラマの中に生きる彼女たちのこれからを思わず応援してしまいます。

 ジェットコースターのように急に速度が変わりながら進む怒涛の展開ながら、どんな悩みがあっても「あなたはあなたのままで素敵だよ」というメッセージが隠されているストーリーと、登場人物の心の中の色や温度を表しつつ、パフォーマンスのパワーを画面の向こう側まで送ってくれる巧みな演出は毎週見たくなる中毒性があります。◎です!

2022.02.09(水)
文=畑井 優