昨日あのドラマ観た? と最近何かと話題になるのがNHKドラマ。その様子を“攻めている”と表現されることも。本当のところはどうなのか。制作に長く携わる土屋勝裕さん、勝田夏子さんにお話を伺いました。
「よるドラ」がここまで話題になる理由は?
NHKドラマは攻めている――。
もはや常套句のように言われているが、事実、挙げれば切りがないほど、話題作・野心作が作られ続けている。それはいったいなぜなのか、編成局編成センター・総合テレビ副部長の土屋勝裕さんと「今ここにある危機とぼくの好感度について」(通称「ここぼく」)や「半径5メートル」などの制作統括を務めたプロデューサー勝田夏子さんに話を聞いた。
近年、NHKドラマの先進性を象徴するのが、2019年から新作が制作されるようになった「よるドラ」枠だろう。第1作「ゾンビが来たから人生見つめ直した件」ではNHKでゾンビものを放送する新鮮さが話題になり、ゲイと腐女子をテーマにした「腐女子、うっかりゲイに告る。」や“倫理”というこれまでドラマでは描かれてこなかった教科をフィーチャーした「ここは今から倫理です。」、ルッキズム問題に切り込む「きれいのくに」など硬軟織り交ぜた多種多様ぶり。
この枠は「配信でドラマを楽しむ人が増えるなかで、デジタル世代に届くようなドラマを作ってみようということで始まった。実は制作者も若い世代で構成され、若い感性で作っている」けれど「ただ単にとんがっているだけではない」と土屋さんは補足する。「若い世代なりの悩みや、“自分のドラマ”だと感じてもらえるような題材を選んでいる」のだと。
脚本家に小劇場出身の若い劇作家を積極的に起用するのも特徴的だ。勝田さんによれば「新人の脚本家と若手のディレクターで脚本を開発する研究会がある」のだと言う。そうしていち早く新しい才能を発掘しているのだ。
2021.09.09(木)
Text=TV No Sukima