2021年度前期の連続テレビ小説(通算104作目)として現在放送中の「おかえりモネ」が、朝ドラとしては久しぶりの“現代劇”として注目を集めています。しかも物語のスタートは2014年。第一週目からスマホが劇中に登場するなんて、朝ドラとしては革命的です。
終盤は令和以降も描かれるということで、今を生きる私たちに毎朝寄り添う作品になること必至! そこでまだ間に合う、朝ドラ「おかえりモネ」のすごさをお伝えします。
主人公は初のZ世代&久々の現代劇
一昔前までは新人女優の登竜門だった朝ドラ。最近はオーディションではなく、演技力も知名度もある俳優が起用されるケースが目立ってきました。本作のヒロイン・永浦百音(モモネ。モネと呼ばれている)を演じるのは清原果耶。
波瑠主演の朝ドラ「あさが来た」で女優デビューし、その後朝ドラは広瀬すず主演の「なつぞら」にも出演。ほかにNHKでは2018年に「透明なゆりかご」で初主演しています。
演技力にも定評があり、これは朝ドラヒロイン待ったなしだなと誰しもが思っていたでしょう。オーディション文化は残ってほしいですが、清原果耶は近い将来朝ドラヒロインをやるだろう(やるべきだ)と思っていたので納得の人選です。
もちろん作品ごとにヒロイン像の違いはありますが、なんというか、清原果耶の存在自体が朝ドラヒロイン然としているんですよね。すでにいろんな役を演じているのに特定のイメージがついているわけでもなく、透明感がある。
人々が朝ドラに期待する「明るさ、さわやかさ、やすらぎ、応援したくなる」イメージにもマッチ。今の10代の中では抜きん出ている存在であることは間違いないので、このタイミングでのヒロイン決定は賛同しかありません!
しかも「おかえりモネ」の脚本家・安達奈緒子は先述の「透明のゆりかご」の脚本も手掛けており、今回2人は再タッグ。この2人が組んだら素晴らしい作品が生まれるということはすでに実証済みなのです。
本作は「海の町」である宮城県・気仙沼に生まれ育ち、「森の町」である同県の登米(とめ)で青春を送るヒロインの永浦百音が、気象予報士という「天気」に向き合う仕事を目指し、みんなに幸せな未来を届けていく、希望の物語。
朝ドラとしては久々の現代劇です。「あまちゃん」から朝ドラにハマったという人は、朝ドラってほとんど戦前〜戦後の物語が多いということにびっくりしたことでしょう。
たしかに朝ドラを毎回欠かさず観ているシニア層からは、その方が圧倒的支持を得ます。現代劇はどうしても数字が取りにくいと言われてしまうのですが、個人的には現代劇待ってました! スタンスです。
「おしん」DNAにより、朝ドラはどうしても女の一代記路線になりがちです。半年放送する上でも、波乱万丈の人生の方が山場を多く設計できるので都合がいいのでしょう。
しかし、激動の時代を背景に、貧しさや生きづらさが描かれる展開はパターン化されすぎていて、ちょっと食傷気味でした。そろそろ見たかったんですよ、現代劇が。しかも今回の主人公は朝ドラ初のZ世代、1995年生まれの設定です。これは今までの現代劇ともまた違うヒロイン像が見えてきそうです。
2021.07.08(木)
文=綿貫大介