松たか子という女優のすごさ。

 それは演技力の高さだけでなく、四半世紀たってもキャラ変(キャラの変更)せず、清廉性を保ち続けていることにあるんじゃないでしょうか?

 そこで今回は、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーである筆者が、松たか子という女優の真のバリューを分析させていただきます。

歌舞伎役者一家の娘というブランドは強かった

 3回離婚した主人公が元夫たちに振り回されながら、自分らしい幸せを探していくロマンティックコメディー『大豆田とわ子と三人の元夫』(フジテレビ系)で、現在主演している松たか子さん。

 彼女の名前を世に知らしめたのが、今から25年前の恋愛ドラマの金字塔『ロングバケーション』(1996年/フジテレビ系)でした。

 木村拓哉さんが演じる主人公が片思いする、清楚で可憐なお嬢様というのが松さんの役どころ。芸大に通う将来有望な若手ピアニストで、恋愛にウブだったがゆえに、天然で主人公の気持ちを振り回していました。

 そして、『ロンバケ』が社会現象化したことで松さん自身のプロフィールにも注目が集まります。父に九代目 松本幸四郎(現・二代目 松本白鸚)、兄に七代目 市川染五郎(現・十代目 松本幸四郎)を持つ歌舞伎役者一家の娘で、『ロンバケ』で演じた役どころ以上に松さん自身がお嬢様であることが認知されていったのです。

 ブレイクのきっかけがお嬢様役で本人も生粋のお嬢様とあれば、清純派のイメージが定着していくのは自明の理。しかし松さんが驚異的なのは、その清純派像を崩すことなく、現在も清廉なパブリックイメージを保っているということにあると思うのです。

 

深田恭子や石原さとみは何度か“キャラ変”済

 栄枯盛衰が著しい芸能界で、長年、第一線で活躍することが非常に難しいのは言わずもがなでしょう。

 ブレイクしてドラマや映画の主演女優の座を射止めるのもすごいことですが、そこからランクを落とさずに5年、10年と活躍し続けられるかどうかはまた別の話。一時期スポットライトを浴びることと、10年以上スポットライトを浴び続けることは、ひとつ次元が違う話のような気がします。

2021.05.11(火)
文=堺屋大地