ここで、20年以上メジャー作品の主演やヒロインを演じ続けている深田恭子さん、15年以上主演やヒロインを演じ続けている石原さとみさん、2人の現在までのキャラ変の足跡を軽く振り返ってみましょう。
実は深田さんや石原さんは、初めから現在のようなイメージで売っていたわけではなく、自身の年齢に合わせて何度かのキャラ変を経て、今の地位を築いています。
深田さんは、10代の頃は等身大ギャルキャラ、20代前半頃は不思議ちゃんキャラ、30代ではカッコかわいい大人キャラへと変えてきた歴史があります。
石原さんも、10代の頃は純真無垢な清純派キャラでしたが、20代の後半頃は天然風の小悪魔キャラ、30代ではモテのカリスマキャラと、年齢が上がるごとにキャラ変してきています。
深田さんや石原さんは、初期のイメージをそのまま維持し続けることに限界が訪れ、その都度アップデートすることで時代の流れに自身を適応させてきたのでしょう。
けれど松たか子さんはブレイク当時の清純派像を継承し、今なお、上品で清廉なパブリックイメージがありますよね。
優劣をつけられるものではないですし、キャラ変して第一線で活躍し続ける深田さんや石原さんもすごい才能ですが、四半世紀もキャラ変せずに第一線にい続ける松さんは、やはり驚異的です。
要所で汚れ役や毒のある役も演じ実力派女優に
では、松たか子さんはどうして、キャラ変せずに品のよいキャラクターをキープし続けることができたのでしょうか。
もちろん彼女の家柄が立派であることや、性格がもともと高潔であることは重要なファクターだったんでしょうが、彼女は出演する作品選びにも長けていたのではないかと考えています。
清廉性のあるイメージを保ち続けるためには、そういった役柄を定期的に演じるというのは当然必要でしょう。
松さんの場合、岩井俊二監督の1998年の映画『四月物語』で、『ロンバケ』で演じた清潔感のある女子大生と似た方向性の女子大生役で主演。2001年に放送されて大ヒットしたドラマ『HERO』では、主演の木村拓哉さん演じる型破りの検事に振り回されるバディ役として、生真面目で潔癖な検察事務官を演じたことも印象強いです。
2021.05.11(火)
文=堺屋大地