2021年の春、ドラマを観ないのはもったいない! なんでって、かつてないほど各局力を入れているんですよ。通常は何本か「これは観なくてもいいな」と見捨てるドラマもあるのですが、今季はどれもこれも見逃せず、夜はテレビから離れられない状態! きっとこのご時世、なんとか視聴者に楽しんでもらおうと各局のみなさんが奮闘しているからだと思います。
それでも忙しい現代人、全部はチェックできないよ……という方のためにとりあえずこれだけはマストで観てみて、という作品をピックアップしました。恋したい人にも、夢みたい人にも、恋や夢から離れて生きていきたい人にもフィットする作品、ありますよ!
松たか子が、ユーモラスでキュートなバツ3女性に!
「大豆田とわ子と三人の元夫」
筆頭はなんといってもこの作品。坂元裕二約3年ぶりの連続ドラマです。『花束みたいな恋をした』で純粋に恋愛を描いたのは記憶に新しいですが、今作も大枠はラブストーリー。ロマンチックコメディと銘打っているだけあり、軽快な掛け合いから生まれるおもしろさが見ものです。セリフの難易度やいい意味での面倒臭さは「カルテット」に近いので、「カルテット」が好きだった人は絶対に楽しめます。
松たか子演じる主人公の大豆田とわ子はバツ3。バツ3までくると、周りは「あの人はなにか問題がある」という目で見がちだけど、とわ子にそういったムードはまったく感じません。明るく聡明でチャーミング、仕事できるとわ子は人望も厚い。なにか大きな問題はまだまだ隠れていそうだけど、そのミステリー要素で話を転がす展開も坂元ドラマの醍醐味です。
気になるのは、3人の元夫たちとも離婚したとは思えないほどの距離の近さ。最初の夫は田中八作(松田龍平)は、現在レストランのオーナー兼ギャルソンをしている物静かな男で、とわ子が一緒に暮らしている一人娘の父親でもあります。2人目はファッションカメラマンの佐藤鹿太郎(角田晃広)。よくしゃべり図々しく器が小さい。3番目の中村慎森(岡田将生)はとわ子が社長を務める住宅建設会社「しろくまハウジング」の顧問弁護士で、無愛想で理屈っぽい男です。この性格も見た目も違う3人の元夫(メガネしか共通点がない! それに坂元ドラマにしては名字が妙に平凡な三人という共通点もあるけど意図的か?)と、なぜ結婚しなぜ別れたのか。これから関係性はどうなっていくのか、まだまだ結婚をあきらめていない大豆田とわ子の次の恋の相手は誰なのか。そのあたりにも注目です。
また、主題歌と坂元ドラマらしいおしゃれなタイトルバックにも注目です。エンディングのタイトルバックは、まさにミュージックビデオ。第1話のエンディングで流れたSTUTS & 松たか子 with 3exesの楽曲「Presence I(feat. KID FRESINO)」に続き、第2話では岡田将生がフィーチャーされた「Presence II(feat. BIM, 岡田将生)」が、そして第3話は角田晃広フィーチャーの「Presence Ⅲ(feat. NENE, 角田晃広)」が主題歌としてオンエアされました。ゲストラッパーも本編でしっかりカメオ出演しています。それに合わせタイトルバックの映像も毎回変わるようです(どれもシティ感満載でこれぞ今の東京といった感じがして最高)。まさかこれからもさまざまな客演があるのかと思うと、本当に番組の最後まで見逃せません!
「大豆田とわ子と三人の元夫」
関西テレビ(フジテレビ系) 毎週火曜21:00~21:54
出演:松たか子 岡田将生 角田晃広 市川実日子 松田龍平 他
2021.05.01(土)
文=綿貫大介