結婚・出産・子育てなどライフステージの変化は、働く女性にとって悩ましいもの。国は女性活躍推進法を施行・改正し、支援を強化しています。今回は女性の活躍を支える企業や充実したキャリアを楽しむ人を紹介します。

 冒頭はCREAアンバサダー岩崎亜依子さんのインタビュー。大手メーカーのブランドマーケターとして多忙な日々を送りつつ、フェムケアブランド「cozyme」の立ち上げやCREAアンバサダーなど幅広い活動を展開しています。一見すると大変そうな「複数の軸」に、どのように取り組んでいるのか伺いました。

・世代も職種も超えて変革中【株式会社栗本鐵工所】
・社員の健康と働きがいを支える環境整備に注力!【株式会社KUL】
・ワークライフバランスを支える充実した制度【株式会社東光高岳】
・女性の働きやすさをカタチに【東邦ガス株式会社】
・「多様性」を「可能性」に【国立研究開発法人情報通信研究機構(NICT)】


仕事、フェムケア、そしてママ。「どれか」ではなく「どれも」私を支える大切な軸

 新卒で入社した大手化粧品メーカーでは、データ分析やレポート作成などを通じて日本のマーケット特性やマーケティングの基礎を学べました。でもなかなか仕事に自信が持てず「もっと最前線で経験を積みたい」という思いがどんどん強くなって、入社4年目のときに世界的な飲料メーカーで実力を試すチャンスをいただけることになり、思い切って転職しました。

 新しい職場では求められるスピード感が圧倒的に早く、留学時代に培った語学力が通用しなかったり、大変なことがたくさんありました。成功も失敗も含めて実践的な知識や経験を数多く身につけることができましたから、転職してよかったと思っています。

 新しい環境に慣れてきた頃、私のフェムケアに対する思いを聞いて協力してくれる方を紹介されて、念願だったフェムケアブランドを立ち上げることになりました。ブランド名は『cozyme(コジム)』。居心地を意味する「cozy」と私自身を表す「me」を合わせて、『自分らしく心地よく』という願いを込めました。

 平日は本業のマーケター、週末はcozymeのディレクターやCREAアンバサダーという時間の使い分けをしています。私にとっては平日の本業も週末の副業も、私を構成する土台というか軸というイメージです。

 特にcozymeは、収入のために始めたのではなく、フェムケアをもっと広めたい・貢献したいという目的が第一です。だからプライベートの時間を使うことに抵抗や負担を感じませんし、むしろ自分のペースや判断で進めながら新しい気づきや新鮮な発見に出会えるので、自己実現という意味では一番大きな存在かもしれません。

 私の場合、複数の軸で活動するためのポイントが3つあります。1つは職場の仲間です。直属の上司も子育てママで、妊娠がわかった頃から様々な相談に乗っていただきました。この上司だけでなく働くママが多いので、身近にロールモデルがたくさんいて心強いです。

 2つ目は職場の制度。たとえば育児休暇は男性も3〜6ヶ月を取得するのが普通です。それに、社員の家族も参加OKの社内イベントがあったり、育休中に子ども連れでランチをしに来る社員がいるくらい家族を大切にしてくれる職場です。

 3つ目は家族の理解。パートナーが忙しい人なので、平日でも家族の話し合い時間をきちんと確保するために15分くらいの短時間であえてオンラインミーティングをセットしてブロックしています。予定となると仕事モードなので建設的な話し合いになりますし、スマホひとつで手軽にできるのでオススメです。

 いくつもの軸を楽しみながら、私らしく、しなやかに歩いていこうと思っています。

2025.09.05(金)
企画・制作=株式会社 産案

CREA 2025年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

「誰にも聞けない、からだと性の話。」

CREA 2025年秋号

「誰にも聞けない、からだと性の話。」

定価980円