この記事の連載

 結婚・出産・子育てなどのライフステージの変化は、働く女性にとって悩ましいもの。そんな女性に向けて2016年、国は女性活躍推進法を施行し、改正を重ねています。

 そこで今回は女性の活躍を推進する話題の企業や充実したキャリア人生を楽しんでいる人をピックアップ。冒頭はCREAアンバサダー廣松叶子さんのインタビュー。大学卒業後、社会人になった頃から、複数の顔を持ち活躍してきた廣松さん。結婚後も、秘書、モデルを続けながら、早稲田大学での学び直しにも挑戦、活動の幅を広げています。


学び直しも気負わず 自分らしく ゴールは決めずに、楽しく生きる

 現在は秘書やモデルの他、化粧品のプロデュースなど美容家として活動しています。最近は、脱炭素などの環境問題や、女性と社会の問題に関わるフェムテックなどSDGsに関心を持っています。美容家の活動において環境に配慮した化粧品のプロデュースを提案したり、プライベートでもSDGsを実践する企業への投資や製品の購入をするなど、身近なことから貢献できれば、と思っています。

 社会人になってからの学び直しのきっかけは、ファッションやメイクのプロの方々に刺激を受けたこと。美容や健康に関する知識の豊富さに圧倒されました。もともと興味のあった分野を、自分も体系的に学問として学びたい、と考えるようになりました。

 「せっかくなら、もう一度大学で本格的に学んでみたら」という夫の一言が後押しに。夫は私の性格や特徴を理解してくれアドバイスもくれます。また、私が何かを始める時には家事分担などの協力もしてくれるので、「とりあえずやってみよう」を大切に、「合わなければやめればいい」くらいの気持ちで早稲田大学人間科学部へ入学。大学では、主にアンチエイジングの研究を行いました。

 好きで始めた勉強ですが、とくに在学中はモデルと秘書、二つの仕事と家事の両立に限界を感じる日も。そんな時は気の向かないことを、一度手放す気持ちで物事に取り組みます。ちょっと疲れたなぁと思ったら一旦離れて、また気分が乗ったら始める、というように、自分ファーストでマイペースに生きるようにしています。

 一日のうち出来ることは限られています。『今日やらなければいけないこと』、『今日やりたいこと』、『今日できればやりたいこと』の三つにわけて時間をうまく捻出します。私は人生に“正解はない”と思うので、自分が心地いいと感じる生き方を心がけています。また、勤務先もフレックスタイム制度や在宅勤務制度のほか、育児・介護に関する制度が充実していたのも助けになりました。ライフステージが変わっても仕事を続けられる環境が整っているのは非常に心強いです。

 現在は女性の社会進出・活躍が広がってきました。モデル活動の現場でもママでありながらカメラマンとして第一線で働く方も多いです。しかし、数日間の出張など条件次第では家庭の事情から、チャレンジしたい仕事であっても手を挙げづらい現実もあります。制度だけでなく、男性も家庭をサポートできる有休取得などがしやすい風土の醸成。それが、一人ひとりの活躍に繋がっていくのではないでしょうか。

 多様なバックグラウンド、多彩な働き方をする人がもっと増えれば自分と似たような悩みを持つ人と共感したり、逆に自分とは異なる価値観の人から刺激を貰えたりするのではないかと考えます。新しいビジネスや文化はダイバーシティな交流から誕生することも。それってきっと楽しい世の中になるんじゃないかな?と思います。

2024.09.06(金)
企画・制作:株式会社 産案

CREA 2024年秋号
※この記事のデータは雑誌発売時のものであり、現在では異なる場合があります。

この記事の掲載号

楽しいひとり温泉。

CREA 2024年秋号

楽しいひとり温泉。

定価980円

CREAがはじめてひとり温泉を特集して7年。当時は「女性がひとりで温泉なんて!」と驚きを持って受け止められたこのテーマも、いつか珍しくない光景となりました。そして8年目となる今年、「ひとり温泉」は次なるフェーズへ。コロナ禍を経て、進化する“温泉地”を舞台に、めぐる旅を大特集します。いまこそ、めぐるか。それでも、こもるか。さあこの秋こそ、楽しいひとり温泉へ!