世界で爆発的人気を誇る、タイのBL「2gether」の映画『2gether THE MOVIE』がいよいよ公開されました。この『2gether THE MOVIE』がいかに素晴らしいかを、ライターの綿貫大介さんが徹底レビューします。
『2gether THE MOVIE』が日本で世界最速公開!
映画『2gether THE MOVIE』がいよいよ日本公開となりました! 5月末からTOHOシネマズ 新宿ではゴジラヘッドの下の壁面に映画の巨大なポスターが出現。「俺の、ニセの彼氏になってくれー」という強めのキャッチコピーとともに、主演のブライトとウィンの顔がでかでかと張り出される衝撃たるや。BL映画がこんなに大きく展開されているなんて……と喜びを噛みしめるファンも多かったことでしょう。
ただ、その時の東京はまだ新型コロナウイルス緊急事態宣言の延長に伴う休業要請のさなか。シネコンも休業中だったので上映が危ぶまれていましたが、一部緩和を受けて6月1日から順次再開! ありがとう、映画のある世界。そして『2gether THE MOVIE』の無事公開。タイ本国ではまだ新型コロナウイルスの影響で映画が公開されていないため、日本が世界最速上映となっています(だからネタバレが厳禁! 言いたいけれど言えないもどかしさ!)。
どんな内容かわからないという人、大丈夫です。わからないまま劇場に行っても問題なく楽しめる内容です。ですが、もちろん内容を知っていたほうがより楽しい作品であることに変わりはないので、ここで改めて「2gether」とは何なのか、何がすばらしいのかをお伝えします。
コロナ禍の2020年2月、タイのBLドラマとして公式からYoutubeで全世界に無料配信をされた「2gether the series」(以下「2gether」)。当時は日本でも視聴可能だったため、多くの人の布教活動のおかげで注目を集めました。国境の壁も翻訳機能があればなんのその。全世界で観たものを熱狂させ、視聴者数を増やし、世界トレンド1位を連発するほどの人気を博します。
現在は版権上の理由から日本ではYoutubeでの視聴はできず、各有料配信サービスでの視聴が可能。Youtubeという大きなプラットフォームでファンを獲得してきたコンテンツなので、ジオブロックが解除されるとうれしいのですが……有料だとしても観る価値は存分にあるので、未視聴の方はぜひこの王道ラブコメを観てほしいのです(Rakuten TV、TELASA、U-NEXTなどで配信中)!
BL沼の入り口として最適! 帰ってこれなくなっちゃうかも
「2geter」は全13話のドラマで、その後のスペシャルエピソードとなる「Still 2gether」が全5話。映画『2gether THE MOVIE』はそれら2作品を再編集した総集編に、新たに撮り下ろした部分を追加しています。いわば完全版といえる内容です。
ストーリーは大学生のタイン(演:ウィン)とサラワット(演:ブライト)を中心とした学園ロマンチックコメディで、まさに「BLの王道」を行く作品。慣れ親しんだ少女漫画さながらのラブコメ要素も満載で、とにかくBL初心者でも観やすい仕上がりになっています。まさに沼の入り口として最適。簡単に足を踏み入れることができる作品です(そして帰ってこれなくなります……!)。
では改めてあらすじを。
大学の新入生タインは、学内で彼女をつくろうと躍起になっていたある時、ゲイの同級生・グリーン(演:ガン)から告白される。女の子が好きだと断るも、続く猛アプローチ。困ったタインは友人たちに相談し、偽装彼氏をつくってグリーンに諦めてもらう作戦を練る。そこで白羽の矢が立ったのが、学内一のクールな美男子・サラワットだった。無愛想なサワラットに何度も頼み込み、彼氏のフリを承諾してもらうタイン。しかしサラワットの演技にタインは次第に心が揺れて……。
この序盤の設定だけでも、おもしろさは伝わりますよね? あらすじでは濁しましたが、言っちゃいます。王道ラブコメということで十分察していると思いますが、2人は恋に落ちます! 恋愛感情、芽生えます!
「2gether」では2人の距離がゆっくりと縮まり、気持ちが高まっていく様子を見守ることができ、「Still 2gether」では恋人同士になった2人がその後どういう関係を築いていくのか、とにかくラブラブで幸せな2人の関係を観ることができます。そこに「禁断の恋」「道ならぬ恋」の不穏なムードはなく、ただ当たり前に2人の恋を応援せずにいられなくなってくるんですよね。さまざまなトラブルがありつつも、とにかく幸福感にあふれた空気が「2gether」シリーズには存在しています。
2021.06.23(水)
文=綿貫大介