天才すぎる助手とポンコツ探偵が繰り広げるミステリードラマ『ネメシス』は、広瀬すずさんにとってNHK連続テレビ小説『なつぞら』以来の連続ドラマ出演。

 天才的なひらめきで複雑なトリックを鮮やかに解いていく美神アンナに扮し、櫻井翔さん演じる探偵の風真尚希と凸凹バディを演じている。

 本格的な謎解きミステリーを体現するべく、脚本家の片岡翔を筆頭として、『屍人荘の殺人』の今村昌弘、『今からあなたを脅迫します』の藤石波矢など、第一線で活躍する推理小説家5名を招集。

 『SR サイタマノラッパー』シリーズや『22年目の告白―私が殺人犯です―』など、多くの話題作を手がける入江悠が総監督を務めるなど、スタッフも豪華な顔ぶれが実現した。

 探偵モノの新たな名作が生まれそうな予感大。「とにかく現場が楽しい!」という撮影真っ只中の広瀬すずさんに、ミステリーの魅力と撮影中のコンディション作りについて聞いた。

ずっと喋ってるし、ずっと笑ってる。こんな現場、なかなかないです

――謎解きにこだわった台本だということですが、読んでみた感想は?

 もちろん物語のテイストは統一してあるし、アンナの過去の謎を明らかにしていく縦軸は共通しているんですが、6人の方が書いているだけで話によって色味が違うんです。

 ト書きのテンポ感だったり、ちょっとずつ違うので読み物としてすごく面白いです。

――アンナを演じる上で心がけていることは?

 それがもはやなくて(笑)。櫻井さんや探偵事務所の社長を演じる江口洋介さんは、監督から「こんな感じで〜」とニュアンスの指示があるんです。

 でも私は何も言われなくて、「あれ? 私のこと見えてるかな?」って思うくらい。その分、すごく自由なキャラクターなのでいい意味で計算や狙いがなくて。楽しく演じています。

――バディを演じる櫻井さんとの共演はいかがですか?

 すごく居心地がいいです。子供みたいに言い合いできる役なんですが、実際に演じる俳優同士が遠慮なくお芝居できる関係性を作る作業って、どうしても必要で。

 ただ、人間関係を構築することから始めるのはすごく難しいし、簡単にできるものではないんです。だからこそ、今まで何度かお仕事させていただいた、すごく信頼できる櫻井さんとの共演は、スタートラインから違うので助かりました。

 櫻井さんや江口さんとは世代もそれぞれ違うのですが、ただ会話しているだけですごく楽しくて。どんな会話をしてるか思い出せないくらい、現場ではずっとみんなで喋ってるし、ずっと笑ってるし、すごく仲が良いです。こんな現場ってあまりないんじゃないかな。

――髪型やファッションも魅力的です。

 私はそこまで髪型にこだわりがないんですが、短くしたいとは思っていて。私から提案して初めてパーマをかけました。アンナは感性で生きている人なので、洋服もパンチのあるものを選んでいます。

 初めは衣装さんと一緒に決めていたんですけど、アンナを演じているうちに自分の方がどんどんアンナのことをわかってきて。

 緑とか赤とか、毎回派手な色同士を組み合わせるのもこだわっています。これからももっと、自分の中にあるアンナを出していければいいなと思っています。

2021.04.07(水)
文=松山 梢
撮影=榎本麻美
スタイリスト=小川未久
ヘアメイク=菅野綾香(ENISHI)