わかりみが深すぎる心の声 ◎

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 心の声◎! だなんて作品を評価しちゃったりしていますが、私も実はコミュ症のひとり。

「話すテンション間違えた……あそこで話しかければよかったな……変に思われてないかな……」とひとりで思い出しては叫びたくなるほど恥ずかしくなることが多々あるのです。余談ですが、私はタイプ的には片居くん(溝端淳平)に似ていて、話しかけるタイミングやテンションや言葉をよく間違えては落ち込んでいます……。このドラマには、そんな「あるある~」な部分がとても多くあります。

 中でも、只野くんの心の中を表現している時の、とんでもない勢いでCO2噴射しながらの、叫ぶような独白と、語りの高橋克実さんの、気が抜けるようだけど的確に各々の心の声を代弁してくれる天の声はお気に入り。必ずくすっとさせられ、同時にとっても共感しています。

 人に「変!」って言っていいのかわからない時とか、言葉のチョイスミスったー! みたいな時とかありませんか……? 相手にどう思われているのか不安すぎてパニックになって、心の中が大荒れになっている瞬間や、逆に落ち着いて俯瞰で状況が見えちゃって「時が止まってるんじゃ……?」という瞬間がちょうどよいカットとテンポで表現されていて、分かる……! の嵐です。悲しいですがわかりみが深すぎる……◎!!

総評 頑張れ!古見さん!◎

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 このドラマ、基本的にほぼ全員コミュ症なので、毎話ありえない方向にすれちがいがちなのですが、登場人物たちは相手に気を遣いすぎてコミュ症になっているだけで、根本はとても優しい人たちで構成されています。

 彼らのすれ違いを絶妙なテンポと天の声でコメディ調に表現しながらも、古見さんをはじめとしたそれぞれコミュ症たちの苦悩、成長、そして青春を味わう姿をところどころに食い込ませてくるので、たまにホロっともさせてくるんですよね……ずるい。

 あと、夕景を必ずと言っていいほど、ちょうど心に沁みるシーンに当ててくるので、学生時代の下校時を思い出させるような、爽やかだけどちょっと切ないあの瞬間の香りや空気を画面から漂わせてきます。コメディドラマかと思いきや、ちゃんと学園ドラマっぽくエモさも醸し出す所……これもずるいです。

 毎話誰かの悩みを解決できるように奔走する古見さんと只野くんたち。彼らは絶対にコンプレックスを否定せず個性として肯定してくれます。その誰かを助けようと頑張る姿は美しく、学校の中のとても小さくてしょうもない事件に立ち向かっているのだとしても、思わず応援してしまうのです。

 どうか古見さんが優しい世界に包まれたまま、友達が100人できますように……。

 ところで話は変わりますが、4話くらいからノートに書かれた古見さんの言葉が画面上に浮き出るようになり、目を凝らさずとも何と伝えたいのか分かるようになって、このドラマはより見やすく楽しめるようになったと思います。

 制作側だと台本を何度も読み込んだうえに現場での撮影も見ているので、見づらいところや聞き取りづらいところがだんだん分からなくなってしまうんです。(えっ、私だけでしょうか?)

 しかし、しっかりと視聴者の目線に立って私達にわかりやすく、古見さんに寄り添って伝えることを大切にしてくれて……コミュ症にとっても優しいドラマです。感謝申し上げます。

 さて、前回は突然の只野くんと万場木さんのラブ展開!? それを影から見ている古見さんの三角関係!? という所で物語が終わりました。一難去ってまた一難とはこのことですね。

 次回予告はカオスすぎて何が何だか分からぬ間に終わってしまい、どんな話になるのか予想もつきません。ただ、新キャラ登場! と古見さんが珍しく喋ってるので、やはり次回も見届けなくてはいけません。次回も頑張れ! 古見さん! そして古見さんを頼んだ、只野くん!

よるドラ「古見さんは、コミュ症です。」

毎週月曜 よる10時45分~11時15分 NHK総合

【原作】
オダトモヒト
【脚本】
水橋文美江
【音楽】
瀬川英史
【主題歌】
aiko『あたしたち』
【出演】
増田貴久 池田エライザ 吉川 愛 ゆうたろう 筧 美和子 大西礼芳・城田 優
【語り】
高橋克実
【制作統括】
樋口俊一(NHK) 高城朝子(テレビマンユニオン)
【プロデューサー】
大沼宏行(テレビマンユニオン)
【演出】
岡下慶仁(テレビマンユニオン) 石井永二(テレビマンユニオン)
【総合演出】
瑠東東一郎(メディアプルポ)

畑井 優

ドラマ制作に携わりながら、ドラマをこよなく愛するドラマ大好きっ子。20代女子。好きなドラマのジャンルはミステリー。一番好きなドラマは「Nのために」(TBS 2014年)。

Column

ドラマ大好きっ子・畑井 優の
今クールのドラマ通信簿

ライフワークがドラマ鑑賞で、新しく素敵な俳優や監督、脚本家やスタッフを探して推すのが趣味という畑井優さんが、今クールのドラマの見どころを徹底紹介! 通信簿をつけていきます。

2021.10.10(日)
文=畑井 優