料理を「作らない・作れない」ことに罪悪感を持っている人に贈る、フードライター・白央篤司さんの金言&レシピ。

 どんなものであれ、作ろうと思ったそのこと自体が尊い。今晩はひと品、作ってみませんか?


 先日、ジェーン・スーさんのポッドキャストを聞いてたんですよ。お題は「親に言われた忘れられないひと言」、というもの。ある方の投稿に「汁だけでも飲んでいきなさい!」というのがあって、思わず笑ってしまいました。

 十代の頃ってとにかく眠くて、朝ごはんが入らないこと多いですよね。でも成長期だし、親は子どもの欠食って心配なもの。「味噌汁だけでも飲んで!」と叫びたくなる親御さんの気持ち、わかるなあ。私も似たようなこと、よく言われてたっけ。

 そんなことから、今回は「夏の味噌汁」をテーマに考えてみました。ひどい暑さに、食欲が減退してる方も多いんじゃないでしょうか。食べないと、夏バテにもなりやすい。さっぱりと飲みやすく、食欲を誘うような汁をご紹介します。

◇トマトとオクラの味噌汁

 トップバッターは、トマトとオクラの味噌汁。

 先日作ってみて、「夏にいいものだな……」と嬉しくなりました。さわやかなトマトの酸味と味噌って、相性がすばらしいんです。そしてオクラの軽いとろみが口にやさしくて。

 作り方はごく簡単。

 ひと口大に切ったトマトをだしで3~4分中火で煮て、タテに切ったオクラを入れて1分。味噌を溶いて出来あがりです。

 オクラは触ってみてうぶ毛が痛いようなら、まな板などで軽く板ずりしてください。

 だしは好みのもので構いませんが、おすすめは煮干しだし(いりこだし)。野菜だけの味噌汁には、旨みのしっかりした煮干しだしがよく合います。

 水2カップ強(450ミリリットルぐらい)に対して煮干し8~10gぐらいがおいしいですよ。頭とはらわたは取らなくてもOKと私は考えています。

 中火にかけ、沸いたら少し火を弱めて6~7分煮て、取りのぞいてください。水出しでもOK、その場合は半日ほど冷蔵庫に入れておくとよいですよ。

◇ズッキーニの味噌汁

 夏におすすめといえば、ズッキーニの味噌汁も。

 すっかり定番野菜となったズッキーニ、クセのない味わいは味噌汁でも活躍してくれます。タテ半分に切って、半月切りにして入れていますが、好みの切り方でかまいません。

 味噌汁って私は、基本的にあまっている具材をなんでもどんどん入れて「あまりもの消費料理」や「栄養補給料理」として活用しているのですが、夏の間は2種類ぐらいの具材にとどめたほうが味わいスッキリ、食べやすくなると感じます。

 メインの具は最小限にして、薬味やゴマなどをトッピングして楽しさを加味するのがおすすめ。上の写真は細ネギと、細切れになっている高野豆腐をトッピングしました。おだしは今回も煮干しだしです。

2021.08.10(火)
文・撮影=白央篤司