◇冷や汁

 夏の汁といえば、冷や汁も欠かせません。作り方は本当にいろいろですが、ごくごく簡単なやり方を。

1 だしで味噌汁をよく溶いておく
2 それを冷蔵庫で冷やしておく
3 生で食べられる野菜を加える。

 これだけです。おいしくするためには、

4 コクの出るもの(シーチキン、サラダチキン、サバの水煮、イワシの水煮、シャケのほぐし身、カニカマ、塩昆布、各種ふりかけ、ゴマ油など)を適量加える。

 という手順を、できればプラスしてください。上の写真はミョウガとクレソンを刻んで、油を切ったシーチキンを少々入れてます。シーチキンは油漬けでなく、水煮タイプのものもありますよ。よりさっぱりと仕上がります。

◇ナスとミョウガとひやむぎの味噌汁

 ラスト。ナスとミョウガの味噌汁に、ひやむぎを加えたもの。

 ゆでた素麺やひやむぎを味噌汁に加えて、一食にする。夏の間、私はよーくやるんです。ナスとミョウガの味噌汁は、スッキリした味わいで実に夏向け。ここに麺を入れて済ませてしまうの、簡単でいいんです。

 私なりのポイントは「ナスを煮た味噌汁をまとめて作っておく」「素麺やひやむぎもまとめてゆでておく」の2点。

 とにかく私は面倒くさがり、夏は何度もコンロを使いたくない。なので、味よりも手間無しを優先にしています。

 食べやすい大きさに切ったナスをだしで煮て、トロッと柔らかくなったところに味噌を溶く。冷めたら冷蔵庫にストック。こうしておけば、温かいのが食べたければ1杯分を温め直せばいいし、冷たいまま食べたいときもすぐいただけます。ミョウガは火を通す必要がないので、食べたいときに刻めばOK。

 素麺も都度ゆでたほうがそりゃおいしいですが、「いつでもすぐ食べられる」状態にしておくラクさを優先したっていいじゃありませんか。ただかたまりやすいので、1食分ぐらいを小分けにして冷蔵してください。

 トッピングにはすりゴマがよく合います。海苔をちぎって入れてもおいしい。

 栄養状態をキープする上で一番の敵だと私が思っていることは、欠食です。食欲のないとき、汁だけでも飲んでおくと体の調子はやっぱり違うと感じますね。食欲も適度に刺激されるし、「次の食事はしっかり摂ろう」という気持ちにもなりやすい。

 うまいこと食べて、酷暑を乗り切りましょう。

 それでは、また!

白央篤司(はくおう あつし)

「暮らしと食」がテーマのフードライター。著書に『にっぽんのおにぎり』 (理論社)、『自炊力』 (光文社新書)など。現在オレンジページ、メトロミニッツ、ハフポストなどで連載中。料理家としても活動、企業へのレシピ提供などを定期的に行う。
http://hakuoatsushi.hatenablog.com/

Column

白央篤司の罪悪感撲滅自炊入門

料理を「作らない・作れない」ことに罪悪感を持っている人に贈る、フードライター・白央篤司さんの金言&レシピ。冷凍食品にちょい足しするのも立派な自炊。簡単なことから始めてみませんか?

2021.08.10(火)
文・撮影=白央篤司