ゴールが“奇跡の世界遺産”と呼ばれている理由

 花崗岩を積み上げた砦は、天辺を歩くこともできます。丸く海へと突き出た部分は、稜堡(りょうほ)という、かつて大砲が設置された場所。沖には敵船ではなく、今は巨大なタンカーが停泊しています。

 16~18世紀に建造された建物が保存されているのは、主要港としての役割がコロンボへとシフトしたから。幸か不幸か、忘れ去られたおかげで、ゴールには開発の波が押し寄せることはなかったのです。

 そんなゴールが甚大な被害を受けたのは、2004年12月、インドネシアのスマトラ沖地震により発生した津波によって。

 ガイドのハル君によると、津波が一気に押し寄せ、気が付いた時にはあたり一面が、海になってしまったのだとか。砦から遠くに見える「ゴール・インターナショナル・スタジアム」までも水は達し、使用不能になってしまったそう。

 でも、堅牢な砦の内側は、津波をブロックして被害はなし。“奇跡の世界遺産”と呼ばれているそうです。砦の外側も、それから懸命な復興が行われ、3年後にはスタジアムでクリケット大会も開催されるほどに蘇りました。

 ゴールの旧市街のシンボルといえる時計台は1883年にイギリスによって建造されて以来、止まることなく時を刻み続けています。きっと津波の災害も、その後の復興も含めて、人々の暮らしを見守ってきたことでしょう。

ゴール

●アクセス バンダラナイケ国際空港から車で約2時間30分
●おすすめステイ先 アマンガラ
https://www.aman.com/ja-jp/resorts/amangalla

【取材協力】

エスティ・ワールド
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トラベルファクトリー・ジャパン
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古関千恵子 (こせき ちえこ)

リゾートやダイビング、エコなど海にまつわる出来事にフォーカスしたビーチライター。“仕事でビーチへ、締め切り明けもビーチへ”をループすること1/4世紀あまり。
●オフィシャルサイト https://www.chieko-koseki.com/

Column

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2020.01.18(土)
文・撮影=古関千恵子